西武高橋光に求められる高きハードル 「もう少し頑張ってもらいたい」辻監督が厳しい理由

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

2試合続けて苦言「あの7回はちょっと寂しい」

■西武 3-2 オリックス(30日・メットライフ)

西武の高橋光成投手は6月30日のオリックス戦に先発して6回2失点に抑え、今季2戦2勝としたが、辻発彦監督の評価は前回登板に続いて手厳しいものだった。

高橋光は今季初登板の6月23日ソフトバンク戦では、5回1/3を4安打3失点にまとめ勝利投手となった。しかし、2回に味方打線が一挙4点取ってくれた直後、3回に2四球で自らピンチをつくり2点を返される展開。そんな姿勢に、辻監督は「俺は納得できない」と苦言を呈した。

1週間後のこの日、6回まではほぼ文句なしだった。2点リードの6回には2死一塁で、メジャー通算282本塁打を誇る大物新外国人ジョーンズを迎え、142キロのカットボールで空振り三振に仕留めた。高橋光自身「ジョーンズ選手を三振に取ったカットボールは、いいボールだったと思います」と自画自賛の1球だった。

ところが、リードが3点に広がって迎えた7回、安心したわけではないだろうが、突如崩れた。先頭のT-岡田に右中間を破る二塁打を許し、続く新外国人ロドリゲスに来日1号の2ランを被弾。これが丁度100球目だった。さらに続く若月に初球を中前打されて同点のランナーを背負ったところで、結局この回1死も取れないまま降板を命じられた。

素質抜群、昨季2桁もエース格と呼ぶには物足りない

辻監督は「全体的には良かった。前回の反省があって、投げっぷりが良かった」と評した上で、「あの7回はちょっと寂しい。急にガタッと馬力が落ちたからね。途中までは、8回まで投げてくれそうな球数できていたんだけど。厳しいことを言うようですが、6連戦の頭を任されている投手としては、もう少し頑張ってもらいたい」と嘆いた。高橋光も「うれしいですが、素直に喜ぶことはできません。7回にあのような形で交代してしまい、中継ぎの方に急いで(肩を)作ってもらったと思うので」と反省を口にした。

高橋光は昨季、初の2桁勝利(10勝6敗)を挙げたが、規定投球回数には届かず、防御率は4.51。12勝1敗、2.87のニールと並ぶエース格と呼ぶには、まだ物足りなかった。

“山賊打線”の破壊力で2年連続リーグ優勝を果たした西武だか、今季は先発投手陣の底上げが不可欠。2年続けてソフトバンクに煮え湯を飲まされた短期決戦のクライマックスシリーズを勝ち抜くためには、避けて通れない課題だ。

プロ6年目の23歳と脂の乗る年齢で、抜群の素質を見込まれている高橋光だからこそ、辻監督もハードルを上げずにはいられないのだろう。今季中に、もう一皮むけた姿を見せてくれるだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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