復帰戦で持ち味発揮 V長崎 FW名倉巧「貪欲にいきたい」

周りを生かすプレーを武器に復帰戦を白星で飾った名倉=諫早市、トランスコスモススタジアム長崎

 6月27日のJ2第2節、北九州戦。FW名倉は1年ぶりに立つ公式戦のピッチで、以前と変わらぬ輝きを放った。周りを生かし、周りから生かされるプレー。前線の潤滑油として働き、復帰戦を勝利で飾った。「何より勝ったことが一番うれしい」。屈託ない笑顔も、以前と変わらない。
 MFとDFの間のわずかなスペースを見つけて入り込み、ぴたりとボールを収める。小回りの利くドリブルと高い判断力で攻撃にリズムを生み、触発されるように仲間たちが躍動する。身長168センチの小柄さを逆手に取った武器だ。
 昨年7月の天皇杯2回戦で重傷を負った。前半早々に右膝に違和感を覚えたが、延長戦終了までプレー。その後、全治5カ月と診断された。残りのシーズンを棒に振ることを意味する宣告に「絶望に近い感情があった」。
 それでも、投げやりにならずに、自らの可能性を信じた。長いリハビリをやり遂げて表舞台に戻ってきた。リーグ戦出場は実に2年ぶり。「やっと出られる」。この試合に懸ける気持ちは人一倍大きく、勝利の喜びも大きかった。
 国学院久我山高時代に全国高校選手権で準優勝した。卒業後は大学生とJリーガーの「二足のわらじ」を履いていたが、この春に自主退学。プロ一本で生きていくと正式に決めた。
 「今のチームはすごくやりやすい。貪欲にいきたい」。先月、誕生日を迎えた22歳にとって、飛躍のシーズンとなるか。

© 株式会社長崎新聞社