米ロ共同「シャトル・ミールプログラム」最初のドッキングから25周年

1995年6月29日、スペースシャトル「アトランティス」(STS-71ミッション)がロシアの宇宙ステーション「ミール」とのドッキングに成功しました。米ロ両国にとっては1975年7月の「アポロ・ソユーズテスト計画」以来2度目となるドッキングから、今年で25周年を迎えています。

■国際宇宙ステーション計画に欠かせない共同作業ミッション最初のドッキング

宇宙ステーション「ミール」から離れるスペースシャトル「アトランティス」(Credit: NASA)

STS-71は「シャトル・ミールミッション」においてスペースシャトルとミールがドッキングした初のミッションです。冷戦後のアメリカとロシアが手を結んで実施されたシャトル・ミールミッションは、3年後の1998年から組み立てが始まった国際宇宙ステーション(ISS)計画にも組み込まれている重要なミッションでした。

1995年3月に「ソユーズ」宇宙船で先に到着していた3名も含めた合計10名の宇宙飛行士たちは、アトランティスに搭載されていた宇宙実験室「スペースラブ」やミールにおいて共同作業を実施しました。7月4日にアトランティスがミールを離れた際には、ソユーズに乗ってきた米ロの宇宙飛行士3名がアトランティスに乗り込み、アトランティスで到着したロシアの宇宙飛行士2名がミールに残っています。

アトランティスのドッキングに先立ち、6月1日にはミールの新しいモジュール「スペクトル」が到着し、約700kgの米国製研究機器が届けられました。地球観測などに用いられたスペクトルはその後、ミールに搭乗したアメリカ人宇宙飛行士の居住スペースとしても活躍しています。また、アトランティスの分離時にはソユーズ宇宙船も一時的にミールを離れ、スペースシャトルとミールを同時に収めた写真を撮影しています。

STS-71の後、シャトル・ミールミッションは1998年のSTS-91ミッションまで合計9回実施されました。一連のミッションにおける米ロ共同作業の経験は、今年の11月で宇宙飛行士の長期滞在20周年を迎えるISSの組み立てと運用に活かされています。

アトランティスが搭載してきた宇宙実験室「スペースラブ」に集合した10名の宇宙飛行士たち(Credit: NASA)

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Source: NASA
文/松村武宏

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