物価目標への政策とコロナ対応、同時には難しい=中村日銀審議委員

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[東京 1日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は1日、就任会見で「2%ぐらいの緩やかなインフレが続く世界が企業経営には望ましい」と述べる一方、現在は新型コロナウイルスの感染拡大で需要が蒸発した状況にあるため、2%の物価目標を目指した政策運営をコロナ対応と並行して行うのは難しいとの見方を示した。

中村審議委員は日立製作所の取締役などを歴任した。2008年のリーマン・ショック当時、米ドルの調達に苦労したエピソードを披露しながら、日銀のコロナ対応を「リーマン・ショックでの経験を生かしてやってきている」と評価した。その上で「コロナの感染状況を把握しながら、今までプロアクティブにやってきたように今後も早め早めの対応が大事だ」と述べた。

金融システムについては「日銀が先手を打って対応したため、大きな混乱は生じていない」と指摘した。地方銀行の財務健全性については「厳しいところは厳しいと思う」と述べる一方、預金保険機構が直ちに対応すべきところはないとした。中村審議委員は預保の運営委員会の委員を務めてきた。

一方、中村委員はマイナス金利政策について「金融政策は打っても需要は増えないという流動性のわなに入っているような経済状況」と述べ、「いつかはマイナス金利じゃない時代にならないと、インフレになかなか戻らないという気がする」と語った。

同日公表された6月調査の日銀短観について、中村委員は「想定通り、ネガティブな先行き見通しになっている」と述べた。国内景気は「下期からは戻り歩調と期待している」としつつ、感染第2波や南米などの感染状況に警戒感を示した。

企業経営を担ってきた経験から、中村委員は「経済は国が運営しているのではなく、企業活動による付加価値の創出で成長していく」と述べ、企業のマインド転換が必要だと語った。

*内容を追加しました。

(和田崇彦 編集:山川薫)