香港で「独立」の旗掲げ逮捕 国家安全維持法の施行後で初

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香港で1日、前日に施行されたばかりの「香港国家安全維持法」で初めての逮捕者が出た。当局によると逮捕されたのは2人で、うち1人は香港の独立をうたう旗を掲げていたという。

国家安全維持法は、香港での反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者には最高で無期懲役が科される。

香港返還から23年目の記念日である1日は毎年、香港で民主派のデモ行進などが行われるが、当局は今年、初めてこれを禁止した。新型コロナウイルスの流行を受け、50人以上の集会が禁じられているためとしている。

それでも市内では多くの人が抗議のために集まった。警察はいくつかの少人数グループに、催涙スプレーなどで対応。少なくとも2人を逮捕した。

また、反逆や扇動に当たるスローガンを叫んだりプラカードで掲げたりした場合は国家安全維持法違反となり、逮捕・訴追されるという警告の旗が立てられた。


サウス・チャイナ・モーニング・ポストは情報筋の話として、4000人の警察官が騒乱に備えていると伝えた。

BBCのジョン・サドワース中国特派員は、昨年、香港で行われていた抗議活動はすべてこの法律に違反するとみなされ、最長で終身刑が科せられることになると説明。ある民主派の活動家によると、一般市民も政治や民主化、自由の話を控え、ソーシャルメディアの投稿を消していると報じた。

また知り合いの人権弁護士からは、メッセージアプリ上のやりとりをすべて消してくれるように頼まれたと話した。

自由奪われることへの懸念広がる

香港は1997年にイギリスから中国に返還されたが、その際に香港の憲法ともいえる「香港特別行政区基本法」と「一国二制度」という独自のシステムが取り入れられた。

これにより香港では少なくとも50年間は、中国のその他の地域では認められていない集会の自由や表現の自由、独立した司法、一部の民主的権利などが保護されることになっていた。

しかし、国家安全維持法の制定により、こうした自由が奪われるとの懸念が広がっている。


香港国家安全維持法では、国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する外国勢力との結託といった犯罪を犯した場合、最低3年、最高で無期懲役が科される

昨年のデモでは、抗議者たちは市内のインフラを標的にすることが多かったが、公共交通機関の施設を損傷する行為はテロリズムとみなされる可能性があるという。

中国中央政府と香港の地方政府への憎悪を扇動する行為は第29条違反となる。

また第38条では、非居住者が海外から同法に違反したとみなされる可能性も示されている。つまり、外国人が同法を違反したと見なされた場合、香港に足を踏み入れた時に逮捕される可能性がある。

中国・国務院香港マカオ事務弁公室の張曉明副主任は、6月30日の施行以前の行為については適用されないと説明している。

一方で、香港でこの法律に違反して逮捕された場合、裁判は本土で行われる可能性があると話した。

各国から批判と支援の声

アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、この「独裁主義の」法律が「香港の自治を破壊した」と批判した。

「香港は、自由な中国人が何をつかめるかを世界に示し、世界有数の成功した経済、生き生きとした社会を築いていた」

「しかし中国政府は自国民の向上心を恐れ、香港の成功の大元を破壊してしまった」

米メディアによると、アメリカでは与野党が協力し、処罰される危険のある香港市民を難民として受け入れる法案を策定しているという。

カナダは香港への渡航情報を更新し、「治安維持を理由に恣意的に逮捕され、本土に移送される可能性がある」と警告を掲載した。

台湾政府は、政治的なリスクに直面している人たちのための特別室を設けると発表している。

イギリスのドミニク・ラーブ外相は、中国が香港の引き渡しにおける約束を破ったと述べた。また、英政府はビザ規則に変更を加え、数百万人の香港人に対し、英国市民権を取得する機会を提供する計画を「全面的に」実行する意向だと付け加えた。

(英語記事 HK arrests dozens as 'anti-protest' law kicks in