浦上天主堂の獅子頭など展示 浦上キリシタン資料館

浦上天主堂の獅子頭など被爆標本を展示している「被爆75周年2020特別展」=長崎市、浦上キリシタン資料館

 長崎原爆で被爆した石や瓦、資料など約50点を集めた特別展が、長崎市平和町の浦上キリシタン資料館で開かれている。旧・浦上天主堂の入り口上部に付いていた石の飾り「獅子頭(ししがしら)」は、熱線で溶けた表面が急速に冷えて粒状のガラスに変化しており、貴重という。
 東京大の鉱物学の専門家などでつくる被爆調査団が原爆投下後の1945年10月と46年5月に、長崎市と広島市に入った。長崎では瓦や石、浦上天主堂の外壁など約150点を同大に持ち帰った。特別展では、同大が保存している標本の中から、浦上地区で採集した14点を展示している。
 同館の下村遥香学芸員は「被爆75年がたち、人々の原爆の記憶が薄れている。新しい世代が被害を知るときに、被爆資料を見て、考えるきっかけにしてほしい」と語った。
 訪れた長崎大多文化社会学部3年の古賀日奈子さん(20)は「資料を通して(原爆の)非道さ、残酷さを感じた」と話した。
 同館では、展示している被爆標本などの調査を行う東京大名誉教授の田賀井篤平氏の著書「はじける石・泡立つ瓦 蘇る石の記憶-ヒロシマ・ナガサキ」を販売している。税抜き2400円。展示は8月末まで。入館無料。

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