東京都「7つの新指標」は現場の声を反映 変更点は?

東京都はこれまでの「東京アラート」を改定し、新型コロナウイルスの感染状況や医療体制を伝える新たな7つの指標を導入しました。

これまでの7つの指標から変更があったのは以下の3点です。

これまでの「新規感染者の感染経路が分からない人の『割合』」から「感染経路が分からない人の『人数』と『前週からの増加比』」に変更▼これまでの「感染者の前週からの増加比」を「救急医療の『東京ルール』適用件数」に変更▼「保健所など受診相談窓口への相談件数」を「電話『#7119』への相談件数」に変更

新たな指標のポイントについて、東京都の審議会の委員で国立国際医療研究センターの大曲貴夫医師は「患者を受け入れる現場で、感染者の増加との相関関係を確認した指標」と話しています。また、以前のように基準値は設定せず「数値にとらわれることなく、全体を把握することが大事」として、医療現場の肌感覚と実際の数値をリンクさせた指標だと話しています。

このうち「東京ルール」は、救急車での搬送先がなかなか決まらない、いわゆるたらい回しを解消するものです。この件数が増えると「医療機関側の受け入れ態勢が逼迫(ひっぱく)している」ことを示します。ただ、新型コロナの感染拡大前から東京都内では搬送困難となる事例が1年間に6600件も発生していて、「新型コロナだけが原因なのか」という疑問が残ります。

一方、「#7119」は救急車を呼ぶかどうか迷った際、相談できる電話番号です。「119番通報が減ることで重症者を早く搬送できるようになる」と期待しています。しかし「#7119」の電話番号は認知度が13%しかなく(2017年・全国調査)、新型コロナ感染の疑いを持った人がどれだけ利用するのかという疑問が残ります。東京都は「感染者の増加と相関関係が認められた」としていますが、どの程度全体像を反映しているのかは不明です。

東京都内では新型コロナの新規感染者数が減らない状況が続いています。都民への注意喚起は分かりやすく納得できるものを小まめに出されることが期待されます。

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