日銀6月短観 県内非製造業が低迷 苦しい資金繰りを金融機関下支え

日銀短観 県内業況判断DI(全産業)推移

 6月の県内企業短期経済観測調査(短観)は、新型コロナウイルス感染の影響で、全産業の業況判断指数(DI)がリーマン・ショックの水準を割り込んだ。全国に比べると非製造業の低迷が顕著。資金繰りに苦しんでいるが、金融機関が下支えしている。
 業況判断DIは「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は137社(製造業45、非製造業92)を対象に5月28日~6月末に実施。うち136社が回答した。
 全産業、製造業、非製造業のいずれもマイナス31。日銀長崎支店によると、昨年までは製造業の不振を非製造業が支える構図だったが、前回の3月調査時は非製造業が新型コロナの打撃を受け減退。今回は同レベルだが、9月予測は製造業のマイナス36に対し、非製造業はマイナス44と一層落ち込む見通し。
 全国は製造業の方がマイナス幅が大きい。下田尚人支店長は「本県は自動車産業のウエートが低い半面、観光業が高い」と産業構造の違いを指摘する。
 非製造業では、宿泊・飲食サービスと同様、運輸・郵便も観光客の減少や地元客の外出自粛が響き、マイナス73(前回比37ポイント下落)。逆に小売りは巣ごもり消費や衛生用品の需要増でマイナス24(同17ポイント上昇)に戻した。製造業では、電気機械がマイナス80(同60ポイント下落)だが、9月予測は工場の稼働率回復などでマイナス20に改善を見込む。
 一方、資金繰りを「楽である」と回答した企業割合から「苦しい」とした割合を引いた資金繰りDIはマイナス9(同8ポイント下落)で、全国の3を大きく下回った。ただ、金融機関の貸し出し態度について「厳しい」より「緩い」と答えた企業割合が多く、下田支店長は「苦しい状況でも金融機関の積極的なサポートに支えられている」と分析した。

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