育鵬社教科書、低評価 藤沢市教委が調査書提出

 2021年度から藤沢市立中学校で使用する教科書の在り方を検討する同市教科用図書採択審議委員会が1日、開かれた。同市教育委員会は、検定を経た教科書(見本本)を現場の教師が評価した「教科用図書調査書」をまとめた資料を提出。現在、同市立中では歴史と公民で保守色が強く歴史認識を巡る記述で論争もある育鵬社版を使用しているが、調査書ではいずれも評価が低いことが分かった。

 現場の意向が反映された同調査書は、審議委が教科書採択について同市教委に答申を行う際の参考資料の一つ。歴史と公民の調査対象はそれぞれ育鵬社版を含め7社、6社の教科書で、市立中学校全19校で実施された。

 21年度から導入される新学習指導要領を踏まえ、各教科について担当の教員らが▽内容と構成▽分量・装丁・表記▽教科ごとに求められる工夫や配慮▽生徒の実態や地域の特性との関連-の四つの観点から各教科書について、使用するのにふさわしいかどうかを評価(複数回答)した。

 育鵬社版は歴史と公民いずれも、内容と構成に対する2校の評価にとどまった。一方、4観点全てで多くの学校から評価を集めた教科書もあり、現場判断の差が明確になっている。

 育鵬社版は同市で過去3回採択され、同市立中では12年度から使用。昨年は4年に1回の採択替えの年だったが、新学習指導要領の導入を控え、昨夏の同市教委臨時会で道徳を除く他の教科書とともに引き続き採択された。

 審議委は小中学校の校長や保護者代表ら16人で構成され、今月中に市教委に答申を出す予定。これを受け同市教委は臨時会を開き、21年度に使用する教科書の採択を行う。

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