滞在型リゾート地「6日間滞在できる雲仙」へ 10年後見据えた観光戦略を策定

滞在型リゾートを目指す観光戦略が策定された雲仙温泉街=雲仙市

 観光客の漸減傾向に加え、新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けている雲仙市の雲仙温泉地区の魅力を高めようと、地元観光関係者らでつくる市観光戦略策定委員会(委員長・宮崎高一雲仙温泉観光協会長、17人)が観光戦略を策定した。かつて同地区に外国人避暑客が長期滞在した歴史を踏まえ、今後10年で滞在型リゾート地「6日間滞在できる雲仙」への変身を目指す。
 同地区の滞在型リゾート化は、宿泊客に地域周遊を促して消費額を引き上げる狙い。策定委は昨年9月に市が設置し、協議を進めてきた。

明治から昭和初期にかけて外国人が滞在した雲仙(雲仙温泉観光協会提供)

 戦略では、明治~昭和初期に外国人が数週間単位で滞在した同温泉の歴史と、国立公園の自然を生かして「雲の上の避暑地」のイメージ構築を強調。具体的には▽島原半島を周遊しながら雲仙温泉街に宿泊するモデルコースの開発▽同温泉街の魅力向上▽雲仙岳のトレッキングなど自然活動の充実▽休暇を兼ねてリモートワークを行う「ワーケーション」の環境整備-など12のプロジェクトを推進し、それぞれの事業については民間事業者を公募していくという。
 2030年の同温泉街の観光関連事業者の総売り上げ目標を約100億円(19年実績、約66億円)に設定。温泉街全体での収益性を高めることで、まちづくりや人材育成への投資を促し、温泉街の魅力を向上させて集客する好循環を目指す。
 旅行形態が団体から個人にシフトする中、市は旅館、ホテルなど観光関連事業者の収益を増やすことに注力しつつ、持続可能な観光地経営の確立を目指している。新型コロナ禍で観光の在り方が変化し、「3密」を避けるアウトドアの需要が高まると分析。宿泊施設の衛生管理認定証導入の準備を進め、屋外活動プログラムの充実も急ぐ。
 策定委の宮崎委員長は「雲仙が夏だけなく、『オールシーズンの避暑地』になるよう新しい価値観をもたらしたい」と話した。策定委は3カ年計画で▽雲仙温泉▽小浜温泉、島原半島との連携-の順番で戦略を検討している。

© 株式会社長崎新聞社