長崎OMURA室内合奏団が音楽講座 4カ月ぶりステージで演奏 コロナ禍の中「一歩ずつ取り組む」

ステージで演奏を披露する長崎OMURA室内合奏団の団員=長崎市魚の町、市民会館文化ホール

 大村市を拠点に活動するプロの室内オーケストラ、長崎OMURA室内合奏団(35人)が6月29日、長崎市内でクラシック音楽入門講座を開いた。コロナ禍の影響で今も演奏会を開催できない状況だが、約4カ月ぶりに小規模編成でステージに立ち、息の合ったアンサンブルを披露した。
 市中央公民館主催で、同合奏団の団員を講師に迎え昨年から開いている。3回目。昨年は春と秋に同館音楽室(定員約70人)で実施。今年は4月予定の講座が中止となっていた。しかし、6月に再開された併設の市民会館文化ホール(定員約千人)に会場を変更。受講者約40人は「3密」(密閉、密集、密接)を回避し、間隔を空けて着席することができた。
 講座は2部構成。前半は池田祐希さん(ファゴット)、永留結花さん(フルート)、下条絵理子さん(ピアノ)が講師を務め、「作曲家の趣味や曲想などを知ることで聴いたことのない曲でも楽しめる」とレクチャー。ショパンの「子犬のワルツ」は「自分のしっぽを追い掛け回す子犬の姿を音で表現している」などと解説した。ラストは永留さんのオリジナル曲「花ふくらむ時に」を披露。永留さんは演奏後、「久しぶりのステージで準備段階から楽しみにしていた。初心に帰って人前で演奏するありがたさを実感できた」と感極まった様子で話した。
 後半は、同合奏団が取り組むテレワークによる合奏「うちコン」の動画を上映。その後、団員約10人がステージで距離を保ちながら、J・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」など3曲を披露した。受講者からは手拍子が起こり、会場一体で生演奏を楽しんだ。
 同市桜木町の主婦、松尾利恵(としえ)さん(73)は「楽器の響きが心に染みた。やっぱり生演奏はいい」、同合奏団の芸術監督・村嶋寿深子(すみこ)さんは「早くコロナ禍前のように演奏会が開催できればいいが、今はできることから一歩ずつ取り組んでいきたい」と語った。

息の合った合奏を披露する団員ら

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