100円夕食、食事券、奨学金… 弘大生に支援次々

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弘大生を支援するため始まった100円夕食。「ボリュームがあっておいしい」と学生からは好評だ

 弘前大学(青森県弘前市)が、新型コロナウイルスで経済的な打撃を受けている学生に対する支援策を次々と打ち出している。大学独自の奨学金のほか、「100円夕食」の提供、市内の飲食店で使えるプレミアム食事券などは全国でも珍しい試み。学生の困窮ぶりを浮き彫りにした調査結果が大学の取り組みを加速させた。「学生の苦境は地域経済にも影響する」と大学と地元経済界。「大学を支援し、地域活性化につなげたい」との狙いもある。

 「おー、みんな元気でいてくれたか。うれしいよ」

 100円夕食の初日の6月5日。福田眞作学長は笑顔を見せた。通常450円の定食は、用意した200食が30分で完売した。「食事提供は栄養面でも学生をサポートできる」と大学幹部。

 同大のコロナ対策は当初、感染防止も含めて目立ったものはなかった。しかし、医学部卒業生が3月末、市内で会食の場を持ち、4月に感染が判明するという“失態”が発覚。4月中旬、全学生にアルバイトや外出の自粛を求め、感染防止策を強化するとともに、経済支援策も発表した。

 学生の困窮を示すデータも、大学を動かした。同大医学部生が5月に実施したアンケートでは、学生の46%がコロナで経済的な影響を受けた-とし、多くの学生が食費を切り詰めていることが分かった。退学を考えている学生もいた。

 国の「学生支援緊急給付金」には、学生7千人(大学院、留学生含む)のうち、約2割に当たる1546人が申し込んだ。

 2千円で5千円分の食事ができるプレミアム食事券は、「大学と商工会議所が連携した全国初の取り組み」(清藤哲夫・弘前商議所会頭)となった。

 6月16日の記者会見で福田学長は「困ったら声を出してほしい。2千円の食事券を買えない人を支援することも検討中だ」と学生に呼び掛けた。清藤会頭は、弘大立地による同市への経済波及効果が365億円(2016年度、弘前大財務レポート)に上ることに触れ「コロナの影響を受けた飲食店からは悲痛な叫びが聞かれている。学生には街に出て応援してほしい」と、大学と地域は一体であることを訴えた。

 100円夕食や食事券の資金は、地域住民や卒業生らから寄せられた「修学支援基金」(6月30日現在、157件、約1347万円)が原資になっている。弘前ロータリークラブが200万円を寄付したほか、弘前大学後援会も300万円を寄付。石戸谷忻一後援会長は「弘大の取り組みは大賛成だ」とエールを送る。弘大出身の桜田宏市長も「学生を支援する取り組みは、街全体を元気にする」と強調した。

 医学部5年の男子学生は、コロナの影響で、飲食店のアルバイトをやめた。「大学が打ち出す支援は本当にありがたい。しかし、大学側の負担も大きくなっているはず。国がもっと財政的に大学を支援すべきだ」と語った。