熊本の開業医「外来患者減った」9割 新型コロナで受診控え 

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「外来患者数が半減している」という駒木小児科クリニックの駒木智院長。「第2波が来たら、つぶれる医療機関が出てくる」と懸念する=6月29日、熊本市中央区​

 熊本県保険医協会(木村孝文会長)が県内の開業医を対象に実施した新型コロナウイルスの影響を聞く緊急アンケートで、回答者の9割が「外来患者が減った」と答えたことが、1日分かった。外来減に伴って減収したとの回答は8割以上に上り、感染を恐れて長期化する受診控えが、医療機関の経営を圧迫している現状が浮き彫りになった。

 アンケートは4月30日~5月10日、医科と歯科の開業医1472人を対象に実施。医科は427人(回答率44・7%)、歯科は138人(同26・6%)が回答した。

 医科では、外来患者が「減った」89%、「変化なし」7%、「増えた」1%、無回答3%だった。診療科別にみると、精神科と眼科は全回答者が「減った」とし、耳鼻咽喉科では96%、小児科も95%が減少した。

 歯科の受診控えはさらに大きく、外来患者が減ったのは92%。診療日数や時間を減らしたのは24%に上った。

 保険診療収入が減ったと答えたのは、医科が85%、歯科84%。3割以上の減収は医科が22%、歯科が16%に上った。

 医科では医薬品や衛生用品不足も深刻で、医療用マスクの「充足」が27%だった半面、「在庫1カ月」は51%、「既に在庫なし」も2%あった。防護服は「在庫なし」が46%だった。

 発熱患者に対して(複数回答)は「院外で対応」49・5%、「来院自粛をお願いしている」33・3%、「別室で診療」38・2%と、それぞれ感染防止策を講じている。(福井一基)

◇**「第2波で閉院あり得る」 **  「閉院もあり得る」「職員にボーナスが支給できない」-。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた受診控えにより、県内の開業医の多くが外来患者の減少と減収に直面している。第2波の懸念などから回復の見通しは立たず、危機感を募らせる。

 熊本市中央区の駒木小児科クリニック。予防接種を受ける子どもの姿が見られるが、駒木智院長(59)は「予防接種があるので収入は3割減くらいだが、外来患者数は半減している」と話す。

 コロナ前は平日で80~100人ほどだった外来患者は3月以降、40人前後に減った。受診抑制に加え、例年この時期に流行する手足口病やヘルパンギーナといった感染症も、外出自粛や予防策の浸透などで減ったという。

 同クリニックは、通常なら1日に7~8人出勤する看護師や事務職員を1~2人減らして対応。駒木院長は「患者数は当面、コロナ以前の水準には戻らないだろう。第2波が来たらつぶれる医療機関が出てくる」と懸念する。

 耳鼻咽喉科も受診控えの影響が大きい。熊本市内のある院長は「月200万~300万円の赤字。(感染を心配して)とにかく来院したくないという患者が増えた」と嘆く。

 県保険医協会のアンケートでは「看護師に余剰人員が出ているが、辞めさせるわけにはいかず困っている」「ボーナスが支給できない」など切実な回答も。受診控えが長期化すれば、非正規の看護師や事務職員の雇い止めも出てくるとみる。

 同協会は「受診控えの影響はアンケート後の方が大きくなるとみられ、このままだと県内の医療提供体制に深刻な影響が出る。医療は社会のインフラであり安全保障。医療の“供給力”を維持するためにも公的な支援が求められる」と訴える。(福井一基)