廃材で宝物できた 横浜のNPO キット無料配布

ものづくり体験の場を提供する「アオゾラ・ファクトリー」代表の本多さん(前列右)と参画企業のメンバー=横浜市金沢区

 横浜市金沢区の産業団地に拠点を置く工場主らでつくるNPO法人「アオゾラ・ファクトリー」が、自宅でものづくり体験できるキットを無料配布している。廃材を利用して“世界にひとつだけの宝物”に仕上げるワークショップの様子を動画で配信。共同代表の本多竜太さん(47)=関東プリンテック=は「工場の技術を体験することで、物作りに興味を持ってくれたら」と願っている。

 アオゾラファクトリーは、産業団地「LINKAI横浜金沢」に拠点を置く中小企業などの高い技術力を発信しようと、2016年に結成。産官学の連携による体験型ワークショップなどを開催し、人気を呼んでいた。

 ところが、昨秋のイベントは台風19号に見舞われ中止に。今年4月は新型コロナウイルスの影響で予定していた教室が延期になった。そこで「対面できないなら、自宅で楽しんでもらおう」と、材料をまとめたキットを送る「おウチでアオゾラ・ファクトリー」を考案、4月にスタートした。

 第1弾は、工業用ファスナーの専門商社「ヨコハマ機工」が板に打ち付けた自社の釘(くぎ)に毛糸を巻き付けていく「トントンマキマキ」を提供。子どもたちにも分かりやすいようにと、同NPOの公式サイトで動画も配信した。

 第2弾以降も、▽オリジナルカードづくり(竹内紙器製作所)▽ニッパツ三ツ沢球技場のペーパークラフト(ニッパツ)▽廃材を組み合わせたツリー製作(金属加工業など6社合同)─といった企画を展開。それぞれ募集定数に達するなど人気を集めている。

 山陽印刷と関東学院大は、印刷機の清掃に使ってさまざまな色に染まった不織布でミサンガを作るキットを配布。受け取った子どもから「外出自粛で会えないおじいちゃんたちにプレゼントした」「着せ替え人形のドレスを作った」との声が寄せられたという。

 「発想の自由さに驚かされた」と手応えを語る本多さんは、「工場を身近に感じることで、その企業にも目を向けてもらえたらうれしい」と期待を寄せた。

 ワークショップは今秋の再開を目指しているが、自宅向けのキット配布も毎月1~2回のペースで継続する予定。問い合わせは、アオゾラ・ファクトリー公式サイト。

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