レッドブル代表「シリーズ制覇に挑戦する今年、ホンダの存在は非常に重要」F1オーストリアGPプレビュー

 レッドブル・レーシングのチーム代表クリスチャン・ホーナーが、2020年F1開幕戦オーストリアGPに向け、パワーユニット(PU/エンジン)パートナーのホンダとの関係は2年目に入りさらに緊密になっており、共にタイトル獲得という野心を持ってシーズンを戦っていくと語った。

「レッドブル・リンクは、パンデミックの影響でレースが減少していく中で、早期からF1再開に向けて取り組んできた。ディートリヒ・マテシッツ氏(レッドブル創業者)とレッドブル社に感謝している」とホーナー代表はコメントした。オーストリアGPの舞台、レッドブル・リンクのオーナーはレッドブル社であり、レッドブル・レーシングおよびスクーデリア・アルファタウリにとって、このグランプリはホームレースとなる。

2020年F1第1回バルセロナテスト1日目 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「私たちはプロモーターと密接に協力して、このレースを実現させるための努力をしてきた。F1を運営しているリバティメディアが、F1再開のために適切かつ安全な環境を提供し、またオーストリアで2週連続のレース開催するために、多大な努力をしてきたおかげで、私たちはホームでのレースウイークを迎えることができた」

「F1や開催国では、スタッフや全メンバーの感染対策に大きな力を注いでおり、チームは基本的に外部との接触を断った『ソーシャル・バブル』の中で仕事をすることになる。それぞれのチームは別々のホテルに宿泊するし、ホスピタリティチームもレースには参加しない。ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用する。通常のレース前のグリッドや表彰台でのセレモニーなどは行われないので、これまでとは異なるレースになるだろうが、安全な環境を作るためだ。さらに、レースの過程でもコロナウイルスの検査が実施される。感染対策は徹底していて、安全で管理された環境が整っている」

■休止期間もメンバーの関係を緊密にするためさまざまな取り組みを実施

「いよいよレースが再開されるが、メルボルンでの出来事は今となってはとても昔のことのように感じる。本来であればシーズンが中盤に差しかかる時期に、ようやく再開すると考えると、ちょっと不思議な感じがするね」

「F1チームが2カ月半も休止状態になる異常事態で、その期間中にもチームの感覚を維持する必要は当然のこととしてあった。そのため、最新の情報をチームに伝えることはもちろん、オンラインでのフィットネス・クラス、金曜日の夜のクイズ大会、 スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングなど、ドライバーとチームメンバーとの関わりを維持する活動などを行った。この活動は、先行きが不透明な時期には非常に重要なものだった」

「またロックダウン中は、チームを超えた調整作業が多く行われており、個々のチームだけでなく、F1全体の利益になるような解決策を見つけようとする仲間意識があった。新しいレギュレーションの導入を遅らせることや、コスト制限の上限を下げることなどを決定した。危機的状況に陥ったときはチーム同士の連携が非常に重要だ」

「レース再開後は、活動が制限されるので微調整が必要になるだろう。2022年に向けた新しいレギュレーションにあるコスト規制については、全く新しいものであり、今後さらに詳細が決定されると思う」

■「ホンダとの一体感はさらに増してきている」とホーナー代表

「去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開される。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってくる。多くのレースが行われるので、関係者全員にとって厳しい時期になるだろう。再開直後は激しい展開もあるだろうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってくる。今年は異例の幕開けとなるが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためには、それが必要なことなのかもしれない」

「フィルミングデーでマシンを確認することができたのはすばらしいことだった。なんのためにここまで頑張ってきたのか、自分たちの目標はなんなのかを思い出させてくれた。レースがスタートすれば、マシンとレースに集中することになる。すべてはコース上でなにが起こるかにかかっていると思っている」

「2020年はすばらしいシーズンになるだろう。もちろん、ドライバーたちはレースの感覚が鈍った部分もあるかもしれないが、彼らはプロなので、すぐに克服できるだろう。レースは激しいものになるだろうし、これまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思う。レースをとても楽しみにしているし、チームは2013年以来の総合優勝を目指している」

「開幕戦は全員が同じ条件で臨むことになるので、マックス・フェルスタッペンのプレッシャーは例年と変わらないと思う。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調だったが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じているし、期待している。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っている。私たちは非常に強いチームだ。メルセデスに挑戦するための設備とツールで、今年は勝利に導きたいと考えている」

2020年F1プレシーズンテストでのマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

「忘れられがちだが、アレクサンダー・アルボンは、F1ではまだ2年目のシーズンだ。しかも、昨年はシーズン途中に移籍し、見事な活躍をみせた。彼はプレッシャーにとても強いように見えるし、昨シーズンの成績をさらに伸ばしてくれると思う。彼にはチャンスが巡ってくるだろう。今年はさまざまな面からも、とても期待している」

2020年6月フィルミングデー アレクサンダー・アルボン(レッドブル)とホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクター

「(本来のカレンダーに記載されていたグランプリの)ザントフォールト、バルセロナ、モントリオールで行う予定だったアップデートを、今回のマシンに施す。シャットダウン後に得られた情報はすべてマシンに反映され、シャットダウン前に準備されていた状態から進化しているだろう。だが、他のチームもそうだと思うので、私たちがオーストリアでどのポジションにいるかはまだ分からない」

「また、PUにもアップグレードがなされている」

「6月初旬にファクトリーが再開されて以来、時間と勝負をしながら、マシンのあらゆる面で努力を重ねてきた」

「ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきた。ホンダのデビューシーズンだった昨年は3勝を挙げたが、今年はそれ以上を期待している。彼らは私たちと同じ野心を持っている。オフシーズン中も懸命に開発を続け、もちろん今年はより高い目標を持って臨んでくれている。PUはマシンの重要な部分であり、ホンダは、私たちが前進しシリーズ制覇に挑戦するための重要なパートナーだ」

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