「ユーザーとのタッチポイント」コロナ渦でメーカーのショウルームはどう変わるのか。パナソニックの挑戦

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家電メーカーのショウルームは今後どうなるのか。

りんかい線「国際展示場駅」から徒歩2分という好立地にあるパナソニックのショウルーム「パナソニックセンター東京」は、今静まり返っている。

オリンピックの公式パートナーでもあるパナソニックのショウルームは、この時期、本来なら様々なイベントで賑わっているはずだった。

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「パナソニックセンター東京」には2つの大きな役割がある。

1つは情報発信の場所だ。パナソニックが今、どんなことをやっているか、やろうとしているか、ビジョンを発信する。これまでに様々なイベントも実施してきた。

また重要な商談の場でもある。ショウルームでは一般の家電量販店などではフォローしきれないBtoBビジネスを中心に扱っている。

2月28日にショウルームが閉鎖

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コロナ渦により「ショウルーム」という場所を使っての取り組みは一度全てストップしてしまった。人を集めてのイベントなど到底できない。

かつてない状況下でショウルームのスタッフは今何をやるべきか、何ができるのか、模索の日々を送った。

「不思議と焦りのようなものは感じなかったですね。むしろこの状況で何ができるのか、スタッフからは次々とアイディアが出てきました。その中でまずやろうとなったのが、教育関係のオンラインイベントでした」(パナソニックセンター東京 池ノ内章所長)

家電メーカーのショールームは社会科見学の場所として活用されることも多く、従来より「教育」は重要なトピックだった。

創業者である松下幸之助は「ものを作る前に人を作る」という言葉を残しており、従来より教育に重きを置くという社風もある。

「コロナで学校が休校になったことで、全国の学校関係者から様々な声が届いていました。子どもたちと直接会えない状況で、どのように教育を進めていけばいいのか。

一方で私たちとしても、オンラインでのイベントを強化は急務でした」(池ノ内所長)

オンラインだからこそ実現したイベント

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5月31日に実施したイベントのテーマは「STEAM教育」。ZoomやYouTubeを駆使した完全オンラインのイベントを開催したのは、この時が初めてだった。

STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」に、Art(芸術)を加えて提唱された教育手法を指す。パナソニックでは従来よりSTEAM教育に注目しており、競泳オリンピアンのケイティ・レデッキーさんと共に独自のプログラムを展開していた。

オンラインイベントではケイティさんを始め、STEAM教育のプロフェッショナルが登場。また日本各地に住む中学生約20名も参加した。

予想以上の手応え

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全編英語で実施されたイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。多くの中学生にとって、義務教育の枠を超えた最先端の教育に触れられる機会というのはそれほど多くない。

「アメリカに住むケイティさんと日本各地に住む中学生がリアルタイムでディスカッションできるというのは、オンラインイベントならではの経験で、本人はもちろん、保護者からの反響も大きかったです」(パナソニックセンター東京NEXTコミュニケーション課の那須 瑞紀さん)

特に注意したのが、受け身にならないようなイベント設計だ。

「ただ講義を聞くだけのイベントにならないよう、相互のコミュニケーションが発生するように意識しました。オンラインイベントでありながらも、体感やアウトプットできる場を目指しました」(那須さん)

オンラインでどう存在感を示していくか

リアルでの活動が制限される中で、ショウルームの立ち位置も今後変わってくる。

「BtoBのアテンドもバーチャルでできないか、色々な可能性を模索している段階です。悲観的になっている訳ではなく、バーチャルならではの広がりや手応えも感じています。例えば、アメリカとタイのバンコクを繋いで、同時に提案ができないかなど、これから新しいスキームも広がってくると思います。

今後、オンラインイベントが乱立していく中でどう存在感を出していくかというのも課題の一つです」(池ノ内所長)

リアルの価値が変わってくる

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オンラインイベントをやったことで見えてきた「リアル」の価値もあったという。

「理数、テクノロジーはあくまで手段であり、人間らしさも含めた『教育』までをオンラインでフォローすることの難しさを実感しました。ニューノーマルといわれるこれからの世の中において『リアル』で体感するということの価値は、上がっていくと思います」(那須氏)

スポーツやアートイベントなどリアルで体験したからこそ得られる感動というのは確かに存在する。その中でどうバランスをとっていくのか、メーカーだけでなく、ユーザーにとっても重要な選択になっていくだろう。