北陸の進出企業、在宅勤務に切り替え 国安法施行の香港

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 中国政府の統制を強化する「香港国家安全維持法(国安法)」が施行され、香港で緊張が高まっていることを受け、北陸の進出企業に不安が広がっている。アイ・オー・データ機器(金沢市)は従業員の安全を確保するため在宅勤務を検討し、デモの影響でハチバン(同市)の一部店舗では売り上げが減少した。新型コロナウイルスが香港で収束に向かう中、各社からは「一難去ってまた一難」と嘆き節が漏れる。

 「香港は重要な拠点。営業活動に支障が出ないか心配だ」。現地に拠点を持つアイ・オー・データ機器の担当者は動向に気をもんでいる。

 同社によると、昨年11月に拠点近くでデモが発生し、2週間にわたって従業員の出勤を止めた。現在は通常勤務に戻ったものの、不測の事態に備え、テレビ会議システムを活用した在宅勤務を検討している。

 PFU(かほく市)も、情勢に応じて在宅勤務できるよう準備を進めている。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)の金沢貿易情報センター、富山県新世紀産業機構によると、香港に拠点を置く石川の企業は7社、富山は8社ほどという。

 香港では1日、1万人以上が国安法に抗議するデモを決行、警官隊と衝突し、300人以上が逮捕された。デモは昨年から過熱しており、道路や建物が封鎖され、休業する店舗もみられた。

 香港で7店舗を展開するハチバンでは、デモの発生場所に近い市街地の2店舗で売り上げが激減したが、店舗は営業を続けている。担当者は「新型コロナの影響で落ちた客足が徐々に回復しており、今後の情勢を注視したい」と語った。

 現地に支店を持つ立山科学工業(富山市)の担当者は「現時点で事業活動に影響は出ていないが、これから先にどうなるか分からない」と話した。日本人駐在員からは「デモに巻き込まれる危険があって外に出られない」と報告があったという。

 富山県は14年から毎年、香港で開催される国際食品見本市にブースを設けている。昨年度までに食品関連企業約20社の商談が成立し、県産品の輸出に影響が出る可能性もあるという。

 県は新型コロナの影響で今年8月の国際食品見本市参加を見送っており、担当者は「ウェブ会議などの新しいマッチングの方法も検討したい」とする。

 香港に拠点を持つ金沢市内の企業は、新型コロナの影響で3月から日本人従業員を帰国させているが、まだ現地に戻せていない。担当者は「新型コロナとデモのダブルパンチで、今後の状況がさらに見通せなくなった」と肩を落とした。