アダストリアのスポーツ支援。「ファッションでスポーツを変える」

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<写真提供:水戸ホーリーホック>

株式会社アダストリアはニコアンドやグローバルワーク、ローリーズファームなど、様々な人気ブランドを展開しています。彼らは茨城県水戸市が創業地で、地元のプロスポーツクラブである水戸ホーリーホック(Jリーグ)と茨城ロボッツ(Bリーグ)のスポンサーを務めています。

ユニフォームのデザインやコラボグッズの販売など、アパレル企業ならではの取り組みを進めるアダストリアが、スポーツ界にもたらす影響とは。広報IR室の佐田楠都子さんにお話を伺いました。

(取材日:2020年5月25日 聞き手:竹中玲央奈、堀友美)

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選手のモチベーションや、ファンの帰属意識を高める

弊社アダストリアは、2016年から茨城ロボッツさん、2019年から水戸ホーリーホックさんとスポンサー契約を結びました。ただ、プロスポーツリーグはなかなか地上波で放送されません。Bリーグはまだ発足して5年ですし、スポンサーとしての露出によって、アダストリアの知名度が一気に上がることを期待していたわけではありませんでした。それよりも、ファッションという強みを活かして、一緒にスポーツを盛り上げることができるのではないかと考えていました。単にお金を出すだけでなく、それぞれのアセットを掛け合わせれば、お互いの知名度を上げていくような取り組みができるのではないか、と。

スポーツ界にはアパレル企業のスポンサーは少なく、食料や飲料のメーカーが多い印象があります。錦織圭選手のスポンサーをされている同業企業もありますが、チーム競技のメインスポンサーをしているファッション企業は少ないのかな、と。ホーリーホックさんは“ファッションを力に”というところで、ヌメラルズのウェアを使って、選手がモデルとなってかっこいい映像を作り上げています。

<写真提供:水戸ホーリーホック>

選手の方は「モチベーションが上がる」と仰っていたので、双方にとってプラスになりますし、これはお金に換算できない部分だと思っています。ファンの方にも喜んでいただければ、すべてがWin-Winの関係になれますよね。

<写真提供:水戸ホーリーホック>

スタジアムに入る移動着もサポート

<写真提供:水戸ホーリーホック>

選手が店舗へも訪問

<写真提供:水戸ホーリーホック>

また、ファンの方はよりファッショナブルなグッズが出ることを期待されていると思います。2019年に発売したJリーグ39クラブとニコアンドのコラボTシャツは、普段使いもしやすいように作りました。スポーツのグッズはメンズライクというか、色も派手な物が多い気がしていて。クラブのことが好きでも、着る時や場所を選ぶ女性の方は多いと思います。

だからこそ、日常生活でもクラブ愛を噛み締めながら、周りの人にもアピールできるグッズを作ることには意味があります。それでクラブへの帰属意識を高められれば、アダストリアの「ファッションの力で応援する」という考えが実現できますから。リーグとの大掛かりなコラボでしたが、サッカー好きな社員が、Jリーグさんに企画を提案させていただき実現しました。アダストリアの強みとして、好きなことを仕事に活かせるという部分があります。若い社員が多く、やりたいと言ったことをやらせてくれる社風なんです。

アパレル独自の取り組みで、地元に恩返しを

2017-18シーズンよりロボッツの3rdユニフォームをデザインしました。そのユニフォームを着用してから、チームは17連勝と良い流れでしたね。残念ながら最終節に負けてしまって、B1昇格を逃してしまいましたが、社内でもかなり話題になりました。Bリーグの試合が土日にあって、月曜日には「勝ったね」という会話から仕事が始まることが良くありました。

当時の3rdユニフォームは、水戸黒(かつて黒紋付羽織に使用された伝統の黒)をベースにしています。選手やファンの方には、特別な思い入れを持っていただいていました。アダストリアとロボッツさんをつなぐ象徴的なアイテムだったと思います。

そして2019-20シーズンには、ロボッツの3rdユニフォームのデザインを一般公募しました。その中で、「ブランドを良く買っているので、このユニフォームをアダストリアさんが手掛けていると知った時は、すごく嬉しかった」という直筆のお手紙をいただいて。そういった声を聴けたのは、すごくありがたいなと感じます。

このように、スポンサーとして、“消費者”でもあるファンの声を聴く機会はかなり増えました。アダストリアは、2015年に複数の企業が合併して今の形になりましたが、会社として消費者とコミュニケーションを取る機会はあまりなかったんです。

会長の福田三千男は、地元の皆さまに恩返しがしたいといつも言っています。1953年の創業以来、水戸の方々に支えられて、東京に進出してここまで来られたので。だからこそ、見返りを求めるよりも、何か面白いことをして楽しませたいんです。もちろんTシャツを売れば、売り上げという話にもなりますが、それはあくまで副産物。とにかくアパレル企業にしかできないスポンサードを突き詰めていきたいと考えています。

スポーツへの投資で言うと、2019年には水戸市に新設されたアリーナの命名権を取得して、「アダストリアみとアリーナ」と名付けました。そこにもスポーツで皆さんを楽しませたいという会長の想いがあります。

<写真提供:茨城ロボッツ>

<写真提供:茨城ロボッツ>

<写真提供:茨城ロボッツ>

このアリーナはロボッツさんの本拠地としても使われていますが、2019年には茨城国体も開催され、国体の閉会式には、皇室から秋篠宮眞子さまも来られて、企業としての露出は大きかったです。

<写真提供:茨城ロボッツ>

企業の認知度が上がると、採用面での効果が見込めます。アパレル企業なので、ファッションが好きな方の応募は多いですが、他業種の一般企業と比較した上でアダストリアを選んだという方も増えてきました。皆さんを楽しませた結果、アダストリアがいち事業会社企業として見ていただける機会が増えたことは嬉しいですね。

コロナ後も「それぞれの強みを活かして」

私自身は中学でバスケットボール部に入っていましたが、高校からはスポーツをやっていません。だからこそ、バスケットボールに仕事で関わることは、全く想像していなかったです。ルールさえも忘れているくらいでしたが、ロボッツさんの試合を見るうちに思い出しました(笑)。

特にロボッツさんの試合は良く見ていますが、ファンの皆さんのチーム愛を肌で感じられます。私もスポンサーとして一緒に戦う中で、チームの戦術などが少しずつ分かってきて。ファン目線に立ちつつ、親心もありつつというような感覚で応援するのはすごく楽しいですね。社員の中にも、スポンサー事業を通してスポーツを好きになった方はいます。ホーリーホックさんのホームゲームでは、アダストリア主催のサンクスマッチを開催して、前座で元Jリーガーの方と社員が試合をしました。そういった楽しみ方ができるのも、社員のモチベーションにつながっていると思いますし、スポンサーをしていて良かったと感じます。

サンクスマッチの様子

<写真提供:水戸ホーリーホック>

新型コロナウイルスの影響でスポーツ界は苦しんでいますが、スポーツを見て感じる喜怒哀楽が、改めて大切だったと感じることが増えるのではないでしょうか。また、企業としては終息後に売り上げを上げることを優先するのではなく、周囲への配慮や地元への恩返しなど、ステイクホルダーに向けての姿勢が問われると考えています。そういった部分でも、スポーツを応援する気持ちを社内外に示すことができれば良いですね。

今はなかなか人が集まることができず、各々が生き抜くために必要なことを優先されていると思います。スポーツは子どもの教育にも必要ですし、多くの人々にとって欠かせないものです。それぞれの強みを活かして、みんなでスポーツを応援していきましょう。