【鳥肌】古本に挟まっていた証明写真 身元を探したら…凶悪事件の犯人!?

写真はイメージです

古本を買ったらページの間に元の持ち主の物が挟まっていた経験のある方はいますでしょうか。紙幣や手紙が出てきたという話はたまに耳にします。もし顔写真が出てきたら誰でも持ち主を探したくなるもの。それがゾッとする結末になるとは誰もが予想しませんでした。

東南アジアのタイで、ある女性が古写真を投稿するフェイスブック・グループに2枚の写真を投稿しました。1枚は古本の表紙写真。タイ人作家の小説『魔女』のもので、赤い背景に異様な形相の人物イラストが描かれています。

2枚目は高校制服姿の女の子の証明写真。投稿には「古本を買ったところ、間に挟まっていました。きっと元の持ち主だと思います。見つけられたらと思い投稿しました」と女性のコメントが付いていました。

投稿を見た大勢がこの人探しに協力。タイの中学・高校の制服には胸の部分に生徒の氏名が刺繍されています。この証明写真も右胸にある氏名の刺繍が判読できたことから早速ネットで検索してみたところ、意外な事実が判明しました。

2008年8月に起きたとある事件の容疑者と同姓同名だったのです。

事件は超能力者だと偽った南アジア出身外国人男性(40)とその妻のタイ人女性(30、いずれも当時)が、外国人の夫に金を貸したまま逃げられたタイ人女性2人に対して超能力で外国人の夫を探し出して連れ戻してあげると言葉巧みに騙し、儀式料名目で金銭を複数回受け取ったことが発端で起きました。

証明写真の女の子はこのニセ超能力者の妻と同姓同名なのです。この夫婦はさらに被害女性2人をバンコクの日本人も多く住むアパート「ラチャプラロップ・タワーマンション」の一室に長期間監禁して暴行を加えたのです。火で体を炙る、鈍器で殴る、陰部に棒を突き刺すといった残虐なものでした。

監禁された女性の一人が助けを求めるメモを忍ばせた植木鉢を窓から投げ落とし、アパート警備員の頭部に当たり怪我をしたことから警察の知るところとなって2人は救助。うち1人は重傷で集中治療室で安静の状態に。一方のニセ超能力者夫婦は逃亡済みでまだ逮捕に至っていない…というのがネット検索で得られた情報でした。

証明写真は1995年前後に撮影されたものだと思われます。その頃に読んでいた本が『魔女』で、十数年後に起こした事件がニセ超能力者絡みとは何の因果でしょうか。その後投稿した女性の元には証明写真に写った女性の親族から連絡があり写真を無事に返すことができたため、この投稿は削除されました。

しかし制服の刺繍の名前からいとも簡単に身元を特定できてしまうのは恐ろしいものです。事実、タイでは今回の出来事をきっかけに制服に氏名を刺繍するのは現代の個人情報保護が叫ばれるネット時代にそぐわないから止めるべきだとの声が上がり始めました。

とくにタイではネット利用者の実に93%がフェイスブックを利用しています(2019年Hootsuite調べ)。名前で検索すればすぐに本人に辿り着けてしまう状況です。

一枚の古い証明写真がネット民を戦慄させただけでなく、タイの社会を変えようともしています。(取材・文◎赤熊賢)

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