新幹線長崎ルート 肥前山口-諫早 並行在来線 準備進む 電化施設撤去費 長崎、佐賀、JRが等分負担

九州新幹線長崎ルート(博多―武雄温泉―長崎)と並行在来線

 2022年度の九州新幹線長崎ルートの暫定開業に伴い、並行在来線となる肥前山口-諫早間の運営準備が長崎、佐賀両県とJR九州の3者で進められている。
 同区間の鉄道施設は、両県が設立する一般社団法人に同社が無償譲渡。同法人が施設の維持管理を担い、同社が開業後23年間は列車を運行する「上下分離方式」で運営する。従来は全区間で電化施設を撤去して「非電化」とし、ディーゼル車が走る計画だった。
 このうち肥前山口-肥前鹿島間は、博多から乗り入れる特急のディーゼル車を予定していたが、同社が「列車の保有状況に鑑みてディーゼル車ではなく電車の運行が合理的」と判断。この区間の電化施設は維持することになり、今年3月、年間経費3千万円は同社が負担することで合意した。残りの肥前鹿島-諫早間の撤去費9億円は、両県と同社が3億円ずつ等分負担するという。
 また鉄道施設の維持管理費を巡っては08年、両県が年間2億3千万円と見込み、負担割合は「佐賀1対長崎2」と確認。だがその後、人件費や資材費の高騰、保守レベルの向上などで6億6千万円に膨らむ見通しになった。同社は先月の長崎県の要望に対し、譲渡前の設備改良などで維持管理費の縮減を図るとしている。
 ただ長崎県によると、08年には想定していなかった一般社団法人の運営費が年間1億6千万円かかる見込みで、施設維持管理費と合わせて年間8億2千万円が必要。さらにトンネルや橋りょうなど施設の設備投資費も上乗せされるという。
 両県と同社は今年4月、佐賀県鹿島市に共同作業所を設置。各2人の計6人で22年度の上下分離方式に向けた準備を進めている。長崎県の担当者は「経費の増加分や新たに発生した分の負担割合は佐賀県としっかり協議したい」としている。

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