豪州SC:第3戦ウィントンは州境封鎖によりキャンセル。代替地はシドニーのナイトレースに

 6月末に待望のシリーズ再開を実現したVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーだが、現在も進行中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の余波を受け、続く第3戦開催を予定していたウィントン・モーターレースウェイを有するビクトリア州政府と、多くのチームが拠点を置くクイーンズランド州政府による新たな「州境封鎖措置」の実施により同地でのレースがキャンセルに。これを受けシリーズは再び第2戦開催地のシドニーに戻り、史上初となる同一トラック連戦を実施すると同時に、ナイトレースを含む“スプリット・デイ&ナイト・フォーマット”の採用をアナウンスした。

 6月26~28日の週末にVASC連覇中のディフェンディングチャンピオン、スコット・マクラフラン(フォード・マスタング/DJR Team Penske)の2勝でシリーズ復活の狼煙を上げたVASCだが、続く第3戦を予定する7月18~19日の週末を前に、多くのVASC参戦チームが拠点を置くクイーンズランド州政府から「州境を跨ぐ移動の制限を引き上げる」との発表があり、実質的に州間の移動禁止措置が採られることとなった。

 7月1日時点でのこのアナウンスに対して即座に反応したスーパーカー・シリーズは、すぐさま声明を発表し「クイーンズランド州政府からのこの午後の発表は承知している」とコメント。状況打開に向けた策を検討することを示唆していた。

「この初期段階からウィントン・スーパースプリントに関するすべてのオプションを検討している。今後、数日内には次善策に関するアドバイスを通達する予定だが、我々は何よりもまずチーム、ドライバー、シリーズ運営役員やメンバーの安全と健康を優先する」としていた。

 その後、7月2日に早くも決断を下したVASCシリーズは、2020年シーズン再開の第2戦を開催したばかりのシドニー・モータースポーツパークに白羽の矢を立て、ここを第3戦の代替地とすることを決定。

このシドニー・モータースポーツパークは2018年に“シドニー・スーパーナイト”として夜間のレースを実施した実績を持っている

 スーパーカー・チャンピオンシップの歴史上、単一年度のカレンダーで初の同一サーキット連続開催となるばかりか、週末3レースのうち土曜のレース1を照明設備を用いたナイトレースに、残る2ヒートを日曜のデイライト・スプリント2連戦とする“スプリット・デイ&ナイト・フォーマット”の採用を発表した。

 この決定に際しスーパーカーのCEOを務めるショーン・シーマーは、無観客で実施された第2戦とは異なり「ファンは限られたチケット数ながら、このラウンドの観客席に参加することが可能になる」との意向も明かした。

「州間の新しい規制についてすべての政府保健当局者と協議したのち、実行可能な解決策として、我々は今月中旬にもシドニー・モータースポーツパークに戻ることを決めた」と、改めて宣言したシーマーCEO。

「先週達成したことに基づいて安全なイベントを完了した実績があり、その点でもシドニー・モータースポーツパークは論理的な選択だった。(シドニーの位置する)ニューサウスウェールズ州政府のガイダンスに従い、7月のイベントでは連日ファンを迎え入れる対応が可能となったこともうれしく思う」

「イベントのすべての担当者は、先週末シドニー・モータースポーツパークでソーシャル・ディスタンスを維持することに成功し、来月のイベントでもおなじプロトコルに従う計画だ」

 このシドニー・モータースポーツパークは、1996年のツーリングカー選手権時代を始め、近年では2018年にもVASCの1戦としてナイトレースを開催した実績を持つ。

 また、同地では最大4種類のトラックレイアウトが可能であり、VASCのマシンはそのうち3種類で走行が可能とされている。つまり、第3戦の週末はホスト地は同一ながら、レースごとにレイアウトが異なる可能性も示唆された。

 現時点では、サポートカテゴリーのSuper2やSuper3の併催がどのようになるかは未確定ながら、2020年VASC第3戦7月18~19日の週末がシドニーで開催されることだけは確定済みとなっている。

「第2戦の実績からも、シドニー・モータースポーツパークは論理的な選択だった」と語ったCEOのショーン・シーマー(中央)

© 株式会社三栄