合掌土偶発掘は「奇跡」/作業担当 山内さん(階上)林崎さん(八戸)、映画撮影で体験語る

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「合掌土偶」発掘当時の様子を語る山内さん(左)と林崎さん(中)
山内さんと林崎さんが掘り当てた国宝「合掌土偶」

 遺跡発掘に向き合う人たちをテーマにしたドキュメンタリー映画に、国宝「合掌土偶」を掘り当てた山内良子さん(72)=青森県階上町=と林崎惠子さん(71)=八戸市=が出演することになった。2日、八戸市でインタビューの撮影が行われ、2人は「大きく壊れずに出てきてくれたのは奇跡」「縄文の人に(自分たちが)選ばれたのかも-と感じた」と、掘り当てた瞬間の感覚やその時浮かんだ思いなどを語った。

 2人が合掌土偶を発掘したのは1989(平成元)年7月。八戸市の「風張1遺跡」の集落跡で発掘作業に当たっていた。

 山内さんがスコップを土の中に入れたところ、「カチッ」と何かが当たる感触があった。慎重に掘っていくと、見えてきたのは細かい模様。「今までにないようなものが出たみたい。私がこれ以上やって傷つけたら-と思うと、心臓がバクバクしてきた」。当時の興奮冷めやらぬ様子を話す。その翌日、2メートルほど離れた場所から林崎さんが欠けていた左足を掘り当てた。「合掌土偶にピタッと合って、ホッとしたのを鮮明に覚えている」と振り返った。

 山内さんは発掘作業に関わって2年目、林崎さんは1年目のことだった。その後もさまざまな発掘に携わった2人は「例えば住居跡を見ると、ここでご飯を食べていたのかな、とか、ここでは仕事かな、と感じることができる。ロマンがある仕事。発掘をやっててよかった」と話した。

 2人が出演する映画は「掘るひと 縄文狂騒曲」(仮題)。これまでドキュメンタリー映画や、縄文に関するテレビ番組などを制作してきた「ぴけプロダクション」(神奈川県厚木市)が企画・制作する。縄文遺跡を「発掘する」人にスポットを当て、岩手、長野などの“発掘女子”の暮らしを掘り下げるほか、国宝発掘の体験談など紹介する。

 縄文は世界に誇れるもの-と位置づける松本貴子監督(60)は、取材に対し、「普段博物館で見る縄文の遺物が、どこから来たのか、どうやって掘り出されたのか、という根本的なことを知りたかった」と映画の狙いを語った。

 今年いっぱい撮影を続け、来年の公開を目指す。上映館は未定だが、松本監督は「できれば青森県内でも上映したい」と話した。