生活保護を受けている人数と世帯数はどう推移している?

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生活保護の被保護実世帯数は約164万世帯

どのくらいの人が生活保護を受けているかは、被保護世帯数と被保護実人員で確認できます。最初のグラフは、実際に生活保護を受けている被保護世帯数の推移を表したものです。1960年(昭和35年)から2018年(平成30年)まで59年間の世帯数を載せています。

資料:厚生労働省『平成30年度被保護者調査』

生活保護を受けている世帯数は不動産バブル後に増え出し、2005年には100万世帯を超えました。2008年から2010年にかけては、2年間で26万世帯も増えましたが、最近は増加のスピードが弱まり、2018年は163万7422世帯で、2017年の164万854世帯からわずかですが減少に転じています。

表にはありませんが直近の月報によると、2020年2月分の概数では162万5020世帯へさらに減っているので、このまま減少していきそうな雰囲気になりつつありましたが、昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により急増する可能性も出てきました。

生活保護を受けている人は4年連続で減っている

世帯の次は人数で生活保護の現状を確認します。次のグラフは1960年から2018年までの被保護実人員(生活保護を受けている1カ月平均の人数)と、保護率(人口に対する被保護実人員の割合)の推移を表したものです。

資料:厚生労働省『平成30年度被保護者調査』

2018年度の被保護実人員は209万6838人で、4年連続減少しています。不動産バブルがはじけてから100万人以上増えましたが、アベノミクス効果があったのか、2014年からは減少に転じています。保護率も同じような動きをしており、2018年は16.6‰で2014年に比べて下がっています。

被保護実人員と保護率の増減は時代の特徴が表れています。昨今の日本は人口が減少していますが、世帯数は減少していません。高齢者を含めてひとり暮らしが増え、世帯あたりの人数が減っていることで、このような動きが起きています。

生活保護を受けている人数が4年連続で減少しているのは、景気や制度の厳格化等も影響していそうですが、人口の減少も無関係ではないはずです。

生活保護の中心は生活扶助・住宅扶助・医療扶助

最後に、8種類ある扶助ごとに保護を受けている人数(1カ月平均)の推移をグラフにしてみました。8種類の扶助とは「生活扶助」「住宅扶助」「教育扶助」「介護扶助」「医療扶助」「出産扶助」「生業扶助」「葬祭扶助」です。

グラフでは2018年からさかのぼって10年ごとの人員を取り上げたので、2018年度の人員が最も多くなっています。出産扶助・生業扶助・葬祭扶助の3種類はその他にまとめています。

資料:厚生労働省『平成30年度被保護者調査』

2018年の被保護実人員は209万6838人ですが、同じ世帯で複数の保護を受けている場合が多いので、1カ月平均の各扶助の延べ人数では594万3034人となっています。

時代によって延べ人数に差はありますが、多いのはいつの時代も生活扶助と住宅扶助と医療扶助で、2018年ではこの3種類の扶助で全体の90.7%を占めています。生活に困窮している人にとっては、普段の生活費と住居費、医療費の不足が解決できれば、生活保護の廃止が見えてくるのかもしれません。

生活保護制度は、生活に困っている人の頼りになる必要不可欠な制度です。ただ、税金を活用している以上は納税者の納得できる運営が重要です。多くの人が生活保護制度のことを知り、状況を理解し、本当に困っている人に対して優しく手を差し伸べてほしいものです。

執筆者:松浦建二
CFP(R)認定者