【新型コロナ】PCR検査・陽性で退院「国の新基準」

新型コロナウイルスに感染して和歌山県内で入院していた20代の男性が退院時のPCR検査で陽性となりながらも退院したことについて、県は、「国の新しい基準に従った」と説明する一方で、「この基準が正しいかどうかは議論する余地がある」と強調しました。

厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染して入院した場合の退院基準について、先月(6月)12日に見直し、症状のある人については、発症してから10日間経過し、かつ症状が軽くなってから3日間経過したら退院、症状がない人については、陽性反応を示した検体採取から10日経ったら退院する、と定めています。

県内では、20代の男性が、先月(6月)16日に発熱して翌日に熱が下がった後、大阪で判明した新型コロナウイルスに感染した人の濃厚接触者だったことがわかり、23日にPCR検査を受けて陽性となり、入院していました。

県は、厚生労働省の新たな基準に照らして男性を、症状が出ている感染者ととらえ、発熱してから10日目の前日にあたる先月25日に退院にあたってのPCR検査を行いましたが、鼻咽頭と唾液の検体双方が陽性でした。

このため、男性に再度、確認したところ、幼少期から年に数回、高熱を発していたことなどがわかり、県は、この男性を無症状の感染者と判断し、最初のPCR検査の検体を採った日から10日目にあたるきのう(7/2)、退院としたものです。

国は、5月29日以降、退院にあたってのPCR検査の実施を求めていませんが、県は、退院後の対応に活かすため、独自に実施していて、今回は、鼻咽頭と唾液のうち、鼻咽頭の検体が陽性反応を示しました。

取材に応じる野尻技監(7月2日)

記者団の取材に応じた県福祉保健部の野尻孝子(のじり・たかこ)技監は、「退院する際には、ウイルスの量がきわめて少なく、感染リスクは乏しいと思われますが、退院後は、外出せず、自宅にとどまり、保健所による2週間の経過観察を行っています。今回のケースのように、退院時に陽性反応があれば、さらに人との接触がないよう注意喚起します」と説明しました。その一方で、野尻技監は、「退院の基準は、感染症法に基づくため従っていますが、

この基準が正しいかどうかは議論する余地がある」と述べ、今後、国に対して問題提起していく考えを示しました。

© 株式会社和歌山放送