譲渡所得とは? その3 株式等を譲渡したとき

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株式等の譲渡益課税

(1)株式等を譲渡した場合、必ずしも譲渡所得になるとは限りません。通常の場合は譲渡所得になりますが、営利を求めて継続的に売買する場合、事業的規模である場合は事業所得、そうでない場合は雑所得になります。

ただし、課税方式や税額の計算方法は同じなので、それらをまとめて「譲渡所得等」と呼んでいるので、この記事でもそう呼ぶことにします。

(2)株式等の譲渡による譲渡所得等の金額は、「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分され、それぞれ他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税の対象となります。

(3)「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」は、それぞれ別々の申告分離課税とされているため、上場株式等の譲渡所得等と一般株式等の譲渡所得等の間で損益通算はできません。

ですから、上場株式等に係る譲渡所得等と一般株式等に係る譲渡所得等はそれぞれ別の項目として捉える必要があります。

株式、上場株式、一般株式とは?

株式とは、株式会社が資金を出資した人に発行する証券のことで、出資者はその見返りにその会社に対する地位や権利を得ることになります。

地位や権利には、会社の経営方針の承認等に関する株主総会での議決権や配当を受け取る権利があります。税務的には、株式会社だけでなく合資会社や協同組合等の出資者の持分や投資信託の受益権、公社債等の債券も株式等に含まれます。

そのうち、上場株式等とは金融証券取引所に上場されている株式等、店頭売買登録銘柄として登録されている株式、投資信託の受益権、国債、地方債、公社債等の債券が含まれます。

一般株式等とはそれ以外のものです。具体的には同族会社等上場していない会社の株式等が挙げられます。詳細を知りたい方は、国税庁のホームページ(※1)をご参照ください。

上場株式等・一般株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)の金額の計算方法

上場株式等、一般株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)の金額の計算方法は次のとおりです。上場株式等、一般株式等共に譲渡価額から必要経費を差し引いた金額が譲渡所得となります。税率は20%プラス復興特別所得税と覚えてください。

総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)=上場株式等・一般株式等に係る譲渡所得等の金額

上場株式等・一般株式等に係る譲渡所得等(譲渡益)の税率は20%(所得税15%、住民税5%)となります。

注)2037年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。

損益通算・繰越控除等

この問題を考える際は、上場株式等と一般株式等に分けて考える必要があります。

1.上場株式等

上場株式等の中では、基本的に損益通算・繰越控除とも認められます。上場株式等と債券等の間で損益通算・繰越控除の適用が可能であり、上場株式等の譲渡所得等と上場株式等の配当所得等および特定公社債の利子所得との間でも損益通算および繰越控除の適用が可能です。

ただし、配当所得等については申告分離課税を選択することが条件となります。

2.一般株式等

これに対し、一般株式等の間では株式等と債券等の損益通算・繰越控除の適用は認められません。

3.上場株式等と一般株式等

上場株式等と一般株式等の間でも、損益通算・繰越控除の適用は認められません。

上記のとおり、上場株式等は税務的に優遇されているということができます。

まとめ

証券税制は非常に複雑です。これらを完璧に理解する必要はありませんが、株式等には株式、投資信託および債券が含まれ、税率も20%プラス復興特別所得税となり、上場株式等では、損益通算と繰越控除ができることは知っておきましょう。

参考
※1 国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)
国税庁 株式等を売ったとき

執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー