熊本城マラソン中止 「仲間と走りたかった」 ランナー、市民落胆

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今年の熊本城マラソンで、雨の中、力走するランナーを応援する人たち=2月16日、熊本市西区(小野宏明)

 2021年2月に開催予定だった熊本城マラソンの中止が決まった3日、大会を心待ちにしてきたランナーや、「日本一」といわれる応援で沿道を盛り上げてきた市民からは落胆の声が聞かれた。

 18、19年にフルマラソンを連覇し、今年は5位だった九州大大学院生の古川大晃さん(24)=福岡市=は、次回も出場を予定していた。「思い入れのある大会。新型コロナウイルスの影響が見通せず、覚悟していたけど残念」と肩を落とした。

 12年の第1回以来、“皆勤賞”で出場を続けていた熊本市南区の病院職員、中嶋朋子さん(51)は「地元を走るので、一番頑張れる大会。手厚い応援はランナー仲間にも大好評だった」。全国的に大会の中止が続いており、「練習のモチベーションが下がりがちだが、今は仲間と一緒に走って楽しみたい」と前を向く。

 一方、応援に力を入れてきた南区の飽田地区自治連合会の前会長、工藤隆さん(66)は「夏祭りなど地域の行事が軒並み中止。マラソンはぜひ開催してほしいと願っていたが…」とがっかり。大漁旗などを飾り大勢で声をからす同地区の応援は“名物”で、「住民が一致団結できる機会だったが、仕方がない」と残念がった。

 エレクトーン奏者の茶屋桃子さん(41)=南区=も沿道で、先頭から最後に通過するランナーまで7時間近く生演奏を続けてきた。「大会後、出場者から『力になったよ』と声を掛けられることも多く、音楽の力を実感できた。再来年はぜひ復活してほしい」と願った。(山口尚久、隅川俊彦)

憧れの舞台、次回に照準 選手ら前向き 熊日30キロ

 マラソンへの登竜門とされ、五輪メダリストを多数輩出した「金栗記念熊日30キロロードレース」の中止も決まり、県関係の指導者や選手は失意の声を漏らしつつも前向きに捉えた。

 「小学生の頃から父と観戦し、トップ選手の走りに感動した。『いつか自分も』と憧れた舞台に立てたのはうれしい思い出」。そう述懐するのは熊本工高出身で実業団・小森コーポレーションの本川一美監督(48)。1997年の第41回大会で2位に入るなど3回出場した。

 64回続いた大会だけに「いったん途切れるのは残念。でも感染対策が徹底できない状況では仕方ない」と理解を示した。

 女子の部は肥後銀行勢が毎年健脚を披露する。出場4回目の今年のレースで3位に入った猪原千佳(24)は「熊本で日本有数の大会が開かれるのは誇り。声援を受けて走るのが楽しい。次回はみんなで盛り上がれれば」と気持ちを新たにした。

 菊池市でジュニア向け陸上クラブを運営する松田英司さん(60)は東海大や実業団の九州電工(現九電工)時代を含め前回まで11回出場のベテラン。中止の知らせに「完走を目指していた」と残念がった。指導者としてもコロナ禍に胸を痛め、「レースの機会をなくした子どもたちのモチベーション維持に努めたい」と気遣った。(後藤幸樹、佐藤公亮)