「地元経済に影響大きい」 2030年度までに石炭火力休廃止へ 長崎県内から懸念の声

 二酸化炭素(CO2)の排出量が多い非効率な石炭火力発電所について、梶山弘志経済産業相が3日、2030年度までに段階的に休廃止する方針を表明したのを受け、長崎県内で石炭火力を運転している電源開発(Jパワー)と九州電力、立地している自治体からは「今後の議論を注視したい」との声とともに、「休廃止が現実になれば地元経済への影響は大きい」と懸念する声も上がった。
 県内の石炭火力は、西海市の電源開発松島火力発電所1、2号機(各50万キロワット)と、松浦市の電源開発松浦火力発電所1、2号機(各100万キロワット)、九州電力松浦発電所1号機(70万キロワット)、昨年12月に運転開始した2号機(100万キロワット)の計6基が稼働している。
 電源開発は報道に対し「詳細は承知していない」とした上で、「石炭火力の効率化にはこれまでも取り組んできており、休廃止となれば地域経済や電力の安定供給・価格への影響もあることも主張したい」とコメント。
 九州電力は「今後の議論や政策動向を注視していく」とした上で、石炭火力については「CO2排出量は大きいものの、安定供給や経済性に優れており、再生可能エネルギー導入が進む九州にとっては調整電源としての役割も担っている」と強調。「適正な水準を維持していきたい」とした。
 一方、発電所が立地する自治体は休廃止が地元の経済に与える影響を懸念する。西海市さいかい力創造部は「エネルギー政策の方向性は理解していたが、具体的な数が示されたことに驚いている。国の説明を待ちたい」。松浦市地域経済活性課は「休廃止は税収や交付金、雇用などを含め直接、間接に地元経済に与える影響は大きい。30年度までと期限も示されており、もし現実になれば、適切な対策を講じたい」と話した。

© 株式会社長崎新聞社