日本はもちろん世界でもベストセラーの1台であるBセグメントのプジョー208がモデルチェンジを行いました。従来までのガソリン車にプラスして何とピュアEV(電気自動車)となる「e-208」も同時発表。日本の自動車市場にかなりのインパクトを与えるモデルです。
8年ぶりのフルモデルチェンジ
昨年の3月のジュネーブ・モーターショーでお披露目された2代目となるプジョー208。日本への導入の声も高まっていましたが7月2日に正式発表されました。
元々「200番台」のプジョー車は特に日本で人気が高く、低価格で高性能、そしてブランディング戦略の上手さから常に販売を牽引していました。
今回の新型も当然期待がかかるわけですが、ここには驚くべきモデルがラインナップされていました。それがピュアEVである「e-208」の存在です。
まさかの日本同時発表
待望のEV(電気自動車)となるe-208も同時に発表されました
前述したようにこの「e-208」は海外で発表済みです。しかし、日本ではピュアEVと言えば日産リーフが筆頭、輸入車ではBMW i3などがありますが、インフラや航続距離などの問題もあり、普及自体はそれほどではありません。
「e-208」の導入は少し遅れるのではないか、という予想もありました。後述しますが「e-208」自体の販売はガソリン車より少しだけ遅くなりますが、価格やスペックなども含め一気に発表したことからもプジョー(Groupe PSA Japan)の本気度がわかるほどです。
より力強いプジョーらしい進化したデザイン
プジョーのアイコンでもあるライオンの「三本爪」をモチーフにしたヘッドライト
新型208のコンセプトのキーワードは“FUTURISTIC & YOUNG”。元々スポーティな印象を持つプジョー車ですが、新デザインによりブランドやモデル自体に“若々しさ”を注入したいという思いが込められているそうです。
ボディサイズは全長は+120mmの4095mm、全幅は+5mmの1745mm、全高は-25mmの1445mm、2540mmのホイールベースに変更はありません。
ひと言で例えればより「ワイド&ロー」となったボディとプジョーのアイコンであるライオンの爪をモチーフとしたヘッドライトやリアコンビネーションランプなどブランドとデザインとの融合性が絶妙です。エモーショナルなデザインは写真より実車の方がより際立つはずなのでディーラーで一度は確認すると良いでしょう。
注目のピュアEV、何が凄い?
EVのメリットは走行時のCo2排出量ゼロや極めて高い静粛性、そしてモーターならではの加速感など数多くあります。
e-208には最高出力136ps(100kw)、最大トルク260Nmのモーターを搭載します。トルクの数値から2.6L級の加速力が期待できます。
そして何より驚くのがこのコンパクトなボディに50kWhの大容量バッテリーを搭載したこと。ちなみに日産リーフの標準モデルは40kWですから(注: 大容量のリーフe+(イープラス)は60kWh)それよりも多いことになります。
EV購入時に悩むのが充電インフラと航続距離ですが、e-208はこの大容量バッテリーにより欧州のWTLPモードで340kmとなっています(日本のJC08モードは申請中)。バッテリーの耐久性に関しても8年、16万kmと十分な保証となります。
また3種類設定されたドライビングモードを使い分けることで出力をコントロール。「ECO」モードは60kW、180Nmに抑えることで航続距離を最大化できます。もちろん街乗りであれば十分すぎるほどのスペックと言えます。
充電方法やインフラはどうなる?
ボディ左側後方に普通/急速充電口が設置されています
充電に関しては急速/普通を含めた3種類の選択肢があります。自宅などでの普通充電の場合は満充電まで約18時間かかりますが、50kmまでの距離であれば5時間程度で充電が可能。また出力の高いウォールボックス型はその半分で充電できます。
最もポピュラーな急速充電器である「CHAdeMO(チャデモ)」を使えば約50分で80%まで充電が可能。高速道路のSAやショッピングモールなどに設置されているケースが多いので買い物の間に充電を済ますことができます。
この他にもスマホ向けの専用アプリを使い、充電状態の確認のほか、充電時間の指定ができる「リモートチャージング」、これから暑くなる時期に重宝する乗る前にエアコンを作動できる「プリコンディショニング」もe-208には標準装備されます。
充電インフラや充電料金に関しては今回アナウンスされませんでしたが、先日筆者がリニューアルしたプジョーの店舗に行った際「EV充電設備を入れるように設計してあります
」とのこと。徐々にではありますがプジョーディーラーでの充電も可能になっていくと考えられます。
ガソリン車だって大幅進化
どうしてもe-208の陰に隠れがちのガソリン車ですが、販売台数としてはこちらの方が上になることは十分予想できます。1.2L直3ターボエンジンは「エンジン・オブ・ザ・イヤー」を5年連続受賞している名機と呼ばれるユニット、これに今回電子制御の8速ATを組み合わせることでエンジンの特性をうまく引き出しつつ、スムーズな走りと19.5km/L(JC08モード)の低燃費を実現しています。
ガソリン車の1.2L直3ターボには8速ATが組み合わされることでスムーズな走りを実現します
インテリアはもはや未来
プジョーが提案する「i-Cockpit」は新型208にも採用されています。特に今回「ヘッドアップインストルメントパネル」、いわゆるメーター部分の表示にホログラムを採用し3D表示を可能にしたことで視認性や必要な情報を瞬時に読み取ることができるようになりました。
プジョーではおなじみ。世界では500万台以上に搭載されている「i-Cockpit」
これと同時にすでに搭載車種も多い、7インチのタッチディスプレイに関してもAppleの「CarPlay」、Googleの「Android Auto」に対応していることで購入してすぐにスマホナビアプリの画面を表示、活用することができます。要は専用のカーナビは基本購入する必要がありません。
気になる価格、EVでも実は安い!?
今回208/e-208とも価格が発表されました。
208が3グレード、e-208が2グレードになります。最廉価の「208スタイル」は239万9000円と魅力的ですが、ADAS(先進運転支援システム)で非装着のものがあります。
それに比べて「208アリュール」は259万9000円でADASほかフル装備となり買い得感は抜群です。この流れ自体はe-208でも同様ですが、スポーティなデザイン、また開放感あふれる「パノラミックガラスルーフ(オプション)」が欲しければ最上位の「GT-Line(293万円)」を選ぶことになります。
一方、e-208は「アリュール」が389万9000円、最上位の「GT-Line」は423万円となります。
最後に「アリュール」同士で比較した場合、208とe-208の価格差は130万円違います。単純に価格だけみれば確かにEVが高いことは間違いないのですが、プジョーとしては購入時から所有コストからトータルでの出費を同等にする「TCO(Total Cost of Ownership)」という考えを顧客に提案していくそうです。
気になる販売時期はガソリン車が8月末から9月頭にかけて、e-208は10月頃のデリバリーを予定しています。