感動の場・点

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■『雷電』1965年小川原脩画
実際に見ると、たいへん目の粗いキャンバスに、絵の具がたっぷりと盛り付けられている、どっしりとした印象の作品です。岩山全体が濃い赤で表現され、画面全体にごつごつと盛り上がるような力強さを与えています。情熱的な濃い赤で表現された岩山とは対象的に、海と空は柔らかな色が使われています。

画面右端には、雷電海岸の名勝「弁慶の刀掛岩」。小川原脩は岩内の「うきよ旅館」女将に頼まれ、雷電の風景画に取り組みます。岩内出身の画家・坂口清一氏の回想には、取材する小川原を案内したとあり、岩内町内の地理に詳しかったと振り返っています。当時すでに廃業していた「丁平藤田旅館」の辺りに差し掛かったときに「この辺りに藤田旅館があったはず」と小川原が話したのです。その旅館は旧制中学時代の友人宅でした。小川原の先代・政信が福井から移り住んだのも岩内で、縁があったこともあるのでしょう、制作と同年に岩内で個展をひらいています。

赤く輝く岩肌は、夕刻の西日に照らされた姿でしょうか。しりべしミュージアムロード共同展(7/18~9/27)をめぐると、このような後志の美しい景観に出会えるかもしれません。

文:沼田絵美(小川原脩記念美術館学芸員)