長崎県高校野球大会 出場54チームの横顔・1 大崎、川棚、西彼杵、長崎鶴洋、諫早商・島原翔南、諫早農、長崎日大、小浜

昨年は海星が優勝。今年は過去に類を見ない夏に54チームが挑む=県営ビッグNスタジアム

 新型コロナウイルスの影響で中止になった全国高校野球選手権長崎大会(甲子園予選)の代替大会「長崎県高校野球大会」が10日、開幕する。開幕日を除いて試合は原則休日に行われ、8月2日まで長崎市の県営ビッグNスタジアムなど3会場で熱戦を繰り広げる。
 春とNHK杯が中止になったため、今年は完全フリー抽選で組み合わせを決定。初戦から近隣校同士が顔を合わせたり、早い段階で強豪校の激突が予想されたりするなど、序盤から見応えある大会になりそうだ。
 昨秋の県を制した大崎や準Vの創成館などを軸にした争いが予想されるが、今回は約9カ月ぶりの県大会で、各チームの力は未知数。悔しい思いを重ねた3年生を中心に唯一無二の価値ある優勝旗を目指してほしい。
 試合は控え部員や3年生の家族らチームが指定した人以外は入場禁止。ベンチの登録選手は例年と同じ20人だが、3年生に限って毎試合、変更を可能にしている。
 過去に類を見ない夏に挑む54チームを3日間にわたって紹介する。

◎大崎

テンポのいい投球で試合をつくる大崎のエース田中

 就任3年目の清水央彦監督の下、1年時から主力として戦ってきた3年生。昨秋は58年ぶりに県大会を制して結果も出した。集大成となる夏も王座を守って後輩たちにバトンを託したい。右腕の田中駿佑と内海元太の西彼中出身バッテリーは投球テンポが抜群で、坂口航大、山口留稀哉らのバックも堅実。坂口や高垣昂平、本藏悠斗らを軸に打ち勝つ力も備えている。

◎川棚

 昨秋は9失点で初戦敗退。失策は二つだったが、記録に残らないミスが目立ち、実戦形式の練習を増やして判断力を高めてきた。生徒会長も務める主将の平尾海翔が攻守でチームをけん引。鴨川颯斗は打撃の調子を上げており、好機での一本に期待したい。エース左腕の岡村勝平は緩急を織り交ぜて打たせて取る。右腕の森田大斗らへの継投のタイミングが鍵になる。

◎西彼杵

 選手10人の小所帯。1回戦は昨秋に合同チームを組んだ長崎鶴洋と顔を合わせる。力強い直球を投げ込むエース右腕の鰐口塁斗と主将の岩内侑大のバッテリーの出来がポイント。味方の守備位置なども見極めながら、堅実に試合を進められるか。この2人と三塁の岩本悠冶、中堅の森康輔の3年生4人のほか、4番起用が濃厚な1年生の田中青空らにも注目したい。

◎長崎鶴洋

 例年は航海実習が大会と重なって全員でプレーできないこともあるが、今年はコロナ禍で時期がずれて、3年生全5人が一緒に戦える。右腕の渡邊拓夢は直球で押すタイプで、完投能力もある。遊撃の酒井唯登、中堅の亀井尊らが堅実に支えたい。打撃はこの3人のほか、主将の岩崎瑞生らの前に塁を埋められるか。派手さはないものの、泥くさく得点を狙っていく。

◎諫早商・島原翔南

 昨秋に続いて合同チームで挑む。島原翔南の右腕近藤慶志と中島聖太は有家中時代もバッテリー。近藤は調子に波があるものの、力のある直球を投げ込む。打撃はこの2人と、同じ島原翔南の宋家駿に期待。守備は諫早商の早田廉、平山大智の三遊間、島原翔南の二塁の中村文昭らの動きがいい。初戦の相手は昨秋4強の大村工。最後まで諦めず、食らい付いていきたい。

◎諫早農

 昨夏は6年ぶりに8強入り。その原動力にもなったエース右腕の中村優斗がチーム浮沈の鍵を握る。指がボールにきれいにかかったときの切れは抜群。長田中の後輩、高井乙哉がうまくリードして、その確率を上げていけるか。平子道大や浜崎皓太ら左腕の起用法も大事になる。攻撃も中軸の平子、中村に期待。犠打や盗塁など小技を絡めながら1点をもぎ取る。

◎長崎日大

 昨夏は準決勝で延長タイブレークの末、海星に惜敗。今年は諫早農との1回戦が上位進出へのポイントになる。投手の田中玲樹、太田健生、大井手一磨は3人ともに身長が高く、均整の取れた体から切れのある球を投げ込む。バックは井原良祐と松本悠希の二遊間が堅守を誇る。攻撃陣も山下幹太や増丸祐夢をはじめ、厳しい冬場のトレーニングでパワーアップした。

◎小浜

 昨夏は2回戦で優勝校の海星に2-4で惜敗。50年以上チームの指揮を執る溝田澄夫監督の下、今季も攻守バランスよく力をつけてきた。投手陣は変化球でカウントを整えられる左の平瀬響大に加え、捕手兼任の中野拳志郎や外野兼任の山本れんら下級生右腕も成長中。打線は守備の中心でもある主将の原田旭陽、双子の川村祈、穂兄弟、中野、山本らが存在感を放つ。


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