ホンダF1田辺TDオーストリアGP決勝後インタビュー:3台リタイアも「希望的観測は持てた」ガスリーの入賞には手応えも

 2020年シーズンのF1第1戦オーストリアGPは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボン、アルファタウリ・ホンダのダニール・クビアトという3名がリタイアに終わり、唯一ピエール・ガスリーのみが入賞を果たした。

 ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはレースを振り返り、好結果を逃したことについては残念だが、ガスリーの入賞についてはレースパフォーマンスの手応えがあったと語った。

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──まずはレースを振り返ってください。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):待ち望んだ2020年開幕戦がようやく開催されましたが、残念ながらホンダ搭載車4台のうち3台がリタイアという結果に終わってしまいました。

 唯一ポジティブだったのは、ガスリー選手の7位入賞でした。あれだけの混戦のなかで、貴重なポイントを獲得してくれました。

 レッドブルの2台は、いずれも電気系と思われるトラブルでした。フェルスタッペン選手は2番手に繰り上がって、しかも上位10台では唯一ミディアムタイヤを履いていただけに、いい結果に結びついていた可能性が高い。非常に残念でした。

 アルボン選手は中盤まで走り、ペースも悪くなかった。しかしこちらもリタイアに終わってしまった。この2台に関しては現在、原因を究明し始めたところです。ここですぐに第2戦が始まるわけで時間的に非常に限られていますが、きちんと対応してレースに臨みたいと思います。

2020年F1第1戦オーストリアGP アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)

──電気系トラブルを引き起こした原因は、すでに何かわかっていますか?

田辺TD:要素がいっぱいあるので、まだ現在進行中です。

──2台とも同じ原因という可能性は?

田辺TD:いや、症状的には全然違います。

──フェルスタッペンはストレート終わりで突然エンジンがカットオフするような症状だったと思いますが、アルボンの方は?

田辺TD:ミスファイヤ的な症状でした。

ー止まる直前に、急に発生した?

田辺TD:はい。

ーフェルスタッペンが緊急ピットインしたのは、システムのリセットをするためだったのですか?

田辺TD:そうです。非常に原始的なのですが、電気系は往々にして電源をいったん切ってリセットすると直ることがある。しかしそれでもダメでした。

──ピットインの際に、ステアリングも交換していましたよね。

田辺TD:はい。因果関係はないと思いますが、念のために交換しました。ただしドライバーの何らかの操作とトラブルとは、いっさい関係はありません。

──ピットイン後に再スタートしかけて、すぐに止まってしまいました。

田辺TD:いろいろなエラーメッセージが出て、直っていないと判断して止めたということです。

──冬のテストでは、まったく出ていないトラブルですか?

田辺TD:出ていないですね。

2020年F1第1戦オーストリアGP マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)

──他のクルマもいろいろトラブルが出て、その一因として縁石に乗った際の振動が影響していると言われています。そこは、どうでしょう?

田辺TD:今のところは、わかりません。

──結果は残念でしたが、マシンパッケージをフルに発揮するという目標は、ある程度達成できたと思いますか?

田辺TD:レッドブル・ホンダでいうと、アルボンがある程度実力を発揮してくれました。

──戦略も含めて、勝利の可能性もあったと。

田辺TD:そうですね。ペースも悪くなかったし、それ以上にレース戦略が大きかった。ハミルトンを抜いたことを思うと、あのままソフトで走り続けていたらという希望的観測は持てたと思います。

 一方の中団勢は、マクラーレン、レーシングポイントが非常に速くなっている。そのなかでアルファタウリ・ホンダは、ガスリーが頑張って7位に入った。レースパフォーマンスの手応えが見えたのではないかと思いますね。

──すぐに同じサーキットで第2戦ということで、レース現場で月火水でトラブル原因を究明する作業を行うということですか。

田辺TD:具体的な段取りはこれから決めますが、木曜日午前11時までエンジンをかけられない規定がある。そこは厳しい縛りなので、データ解析がいっそう重要になりますね。かなり厳しい状況ですが、限られた時間のなかで頑張ります。

2020年F1第1戦オーストリアGP 田辺豊治(ホンダF1 テクニカルディレクター)
2020年F1第1戦オーストリアGP決勝 マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
2020年F1第1戦オーストリアGP ダニール・クビアト(アルファタウリ・ホンダ)

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