オール国交省で土地利用規制など防災・減災プロジェクト

国土交通省は7月6日、「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」をとりまとめた。国交省が全部局横断でとりまとめたプロジェクトで、危険地域を避けた土地利用も盛り込まれた。

主要施策の中では災害ハザードエリアにできるだけ住まわせないための土地利用規制・誘導として、6月に成立した改正都市計画法等により、災害の危険が高い災害レッドゾーンでの自己業務用施設の開発原則禁止や、浸水想定区域のうち特に危険性の高い浸水ハザードエリアなど危険地域での住宅などの開発の防止へ、開発許可制度を厳格化する。これらは2022年4月施行予定である。今年9月には災害ハザードエリアに立地する住宅等の移転促進について施行予定。コンパクトシティ化など立地適正化計画における居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外は2021年10月施行予定となっている。市町村による居住誘導区域内の防災対策を盛り込んだ、「防災指針」作成支援へ、今夏をめどに部局横断・ワンストップ相談体制を構築する。

災害リスク情報がまちづくりに反映しやすい形で提供されるよう、災害リスク情報を活用したまちづくりのガイドラインを今夏までに骨子を提示し、今年度中にとりまとめる。また、都市開発プロジェクトにおける水災害対策と連携し、避難施設や備蓄施設、雨水の貯留施設や浸透施設などを災害上重要な施設を備えたビルには容積率を緩和する制度を今夏までに創設する。

不動産取引時の重要事項説明に、水害ハザードマップ上の対象物件の位置の説明を今夏までに義務化する。また、気候変動への対応等に関する情報開示を促すガイダンスを今年度中に作成し、防災上安全な不動産に資金が向かうことを目指す。

ゼロメートル地帯で大規模浸水が発生した場合でも、建物や安全な通路を整備し、建物から浸水区域を経由せずに高台などへの安全な避難ができる、高台まちづくりを推進する。東京都と協力し、具体的な取り組みを今年度中にとりまとめる。新型コロナウイルスで懸念される、公共交通機関などを使う広域避難の対象者を減少させ、3密を回避させるため多くの避難スペース確保を図る。

赤羽一嘉国交相は7月6日の会議で、7月4日からの豪雨で熊本県球磨村の高齢者施設が被害にあったことにも触れ、「ハザードマップに基づき、土地利用規制を改めて徹底したい。高台まちづくりは3密を避け、新型コロナ対策にもなる」と述べた。

赤羽国交相は安全な土地利用の推進について語った

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