自由に読書や勉強楽しんで 子どもたちの居場所開設 佐世保・島地町

子どもが自由に読書や勉強などを楽しめるスペース「かのん[奏音]」=佐世保市

 長崎県佐世保市下京町の「かなでクリニック」の野口栄二院長(53)は、同市島地町に、子どもが自由に読書や勉強などを楽しめるスペース「かのん[奏音]」を開設した。野口院長は「子ども同士や、大人と子どもが交流できる居場所になればうれしい」と話す。
 野口院長は心療内科医として約30年、主に思春期の子どもと関わってきた。その中で、心に問題を抱える子どもの多くが、経済苦などで必要な成育環境が整っていないか、環境は整っているが家族から過剰な期待を受けている-の二極化していると痛感した。
 元々、医療につながる前の子どもたちの力になれないかと思案していたこともあり、「何にも縛られない居場所を提供したい」と思うようになった。2018年ごろから準備を始め、19年12月24日に開設した。
 費用は全て野口院長が個人で負担。約90平方メートルのスペースに、落ち着いた色合いの机や椅子、ピアノを配置。約20人が利用できる。小説や参考書などの書籍約600冊もそろえた。家具は品質の良いものにこだわっており、「少しでも大切にされていると感じてもらえたら」と野口院長。
 野口院長は本来、等しく大切にされるべき子どもたちが、生まれた環境によって傷付いたり、心を病んだりしてしまう現実を憂慮している。「子どもがいろんな人間関係を得られるような場がもっと増えたらいいなと思う」と話す。
 新型コロナウイルス感染防止のため現在、一度に利用できる人数は5人に制限している。火~土曜の午後1時~6時。日、月曜、祝日は休み。学生は無料。サポーター会員を募集しており、個人は月一口千円から、団体・法人は年間一口1万円から。今後、同施設で子ども向けは無料で、家族向けは有料でカウンセリングも実施する予定。問い合わせは同施設(電080.7802.6296)。

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