BTCC:今季休養の元王者ジョーダン、公式テストでカローラ・ハイブリッドをドライブへ

 BTCCイギリス・ツーリングカー選手権の運営団体であるTOCAは、2022年の本格導入に向けトヨタ・カローラBTCCに搭載してシェイクダウンを迎える共通ハイブリッド機構のテストドライバーに、2020年参戦休止を発表したばかりの元王者アンドリュー・ジョーダンを起用すると発表。また、同テストでは女性ドライバー、エスミー・ホウキーのデビューも予定されている。

 8月のシリーズ開幕を目前に控え、7月7~8日にイギリス・スネッタートンで公式タイヤテストを実施する予定のBTCCイギリス・ツーリングカー選手権。その2日間のセッションに向け、今季からワンメイク供給が開始されるグッドイヤーの習熟を筆頭に、いよいよ全チームが開幕戦ドニントンパークに向けたウォーミングアップを開始する。

 その公式テストで2020年シリーズ参戦のレギュラー車両と一緒に走行する予定の共通ハイブリッド搭載テスト車両は、システム供給権を獲得したコスワース・エレクトロニクス社により指定された、Speedworks Motorsport(SWM)製の『トヨタ・カローラBTCC』の現行モデルとなる。

 直近には、その共通ハイブリッド機構を開発する公式デベロップメント・ドライバーに、AMR(アストンマーティン・レーシング)で活躍するダレン・ターナーの就任が発表されているが、伝統的なスネッタートンでの公式セッションではそのターナーがシェイクダウンを含めた初期走行を担当。

 その後、2020年からTGRのステータスを得たTOYOTA GAZOO Racing UK with Ginsters(ギンスターズ)のカローラBTCCのみ、追加の1日を過ごすためノーフォーク州のトラックに残留し、特別な木曜セッションの走行を2013年BTCC王者のジョーダンが担当することとなった。

「個人的に忙しくなった週を経て、こうしてポジティブなニュースを届けられるのは本当に素晴らしいことだ」と語ったのは、先週にも名門WSR(ウエスト・サリー・レーシング)のレースシートを降りる決断を下したジョーダン。

「もちろん、今回の要請には即答でYESと答えた。すべての人々のサポートに感謝しているし、BTCC初のハイブリッドカー開発の一翼を担えることを光栄に思う。その感触はどんなモノか、いまから楽しみで仕方ないよ」

 一方、2020年からBTCCイギリス・ツーリングカー選手権に自らの名を冠したジョイントチームで参戦することを発表した元F1経験者マーク・ブランデル率いる『MB Motorsport』は、開発ドライバーに指名した22歳の女性ドライバー、エスミー・ホウキーを公式テスト2日目にシリーズデビューさせることを明かした。

名門WSRのファクトリーBMWをドライブしてきたアンドリュー・ジョーダンだが、直前に2020年シーズンからの撤退を表明している
今季、アンドリュー・ジョーダンがドライブする予定だったBMW330i Mスポーツの77号車。WSRはまだ代替ドライバーの起用をアナウンスしていない
コスワース・エレクトロニクス社製の共通ハイブリッド機構には、ダレン・ターナーの開発ドライバー就任が発表されている

 2019年にポルシェ・カレラカップGBのPro-Amクラスで総合3位にランクインし、初代Wシリーズにも参戦したホウキーは、2020年も引き続きポルシェ・カップカーのステアリングを握ると同時に、レギュラードライバーのジェイク・ヒル、サム・オズボーンと並んで、ル・マン24時間耐久レース覇者のもとで自身初のツーリングカーにチャレンジする計画だ。

「ついにNGTC規定のホンダ・シビック・タイプRのステアリングを握ることができるなんて、本当に待ちきれない気分」と期待を込めた22歳のホウキー。

「前輪駆動マシンのドライブは初めてだし、やることは山積みだと思う。でもこの挑戦に立ち向かい、チームとともに経験を重ねるのは本当に楽しみよ」

 3月開催のラウンチで、今季はAmD Tuning.comのサテライトからエントリー名を引き継ぎ、新生MB Motorsportとしてスタートを切るチームに加入したホウキーだが、その直後に世界的パンデミックに発展した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、走行開始がここまで遅れたことは「予想外」であり「このテストの重要性はさらに高まった」と認識している。

「あらゆる想定外が起こる本当に不思議な年になった。3月のラウンチ以降で最初の走行機会がこのツーリングカーになるとは予想もしていなかったけれど、ようやくトラックに戻れるのは素晴らしいこと。今季後半は本当に忙しくなりそうだけど、できる限り多くのことを学び吸収したいと思っている」

 公式テスト初日の火曜はエースのヒルが走行を担当し、ホウキーは水曜にそのマシンを引き継いで残りのテストプログラムをこなす予定。もうひとりのレギュラーであるオズボーンは、2日間ともにレースに向けたセットアップ作業を集中して進めることになっている。

「私のキャリアのなかで可能な限り最高のレベルに到達したいと思っているし、イギリスで最高の知名度を誇る選手権でチームがどのように運営されているのか。それを理解することでレーシングドライバーとしての自分を成長させたい」と続けたホウキー。

「スネッタートンでの火曜は、私がエンジニアリングチームやドライバーと協力して、可能な限り最高のフィードバックを得ることに集中する。そして水曜はついに私の番に! 自分の手でステアリングを握り、BTCCカー初経験、前輪駆動の初経験を全力でモノにするつもりよ」

2019年にポルシェ・カレラカップGBのプロ-アマクラスで総合3位にランクインしたエスミー・ホウキー
マーク・ブランデル率いる『MB Motorsport』は、2019年に自身がドライブしたFK2型シビックのチーム運営を引き継いでの新規参入に
「BTCCカー初経験、前輪駆動の初経験を全力でモノにしたい」と意気込みを語ったホウキー。

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