【えほんのとびら】 No.207「おじいちゃんの小さかったとき」

福音館書店
文:塩野 米松
絵:松岡 達英

 この本は、今から七十年くらい前に子ども時代を過ごしたおじいちゃんが、孫と一緒に古いアルバムを見ながら、その頃の思い出を語ってきかせる形で書かれています。

 ビー玉、めんこ、ちゃんばらごっこ。その頃の男の子はこんな遊びに明け暮れていました。ビー玉あそびと聞いてもピンとこない孫のために、おじいちゃんは遊び方を丁寧に説明してくれます。

 夏休みが楽しみなのは昔も今も変わりません。おじいちゃんが夢中になったのは、魚つりと昆虫採集。道具はほとんど手作りです。日帰りで海水浴に行ったのは特別な思い出で、家族全員で撮った写真が残っています。

 おじいちゃんの育った場所は豪雪地帯。冬には子どもたちもわら灰や薪を作ったり雪おろしを手伝ったりと、おとなと一緒に働きました。

 子ども時代に遊びや手伝いを通して身につけたことは、今もおじいちゃんの中で生き続いています。「この本が君たちが新しい時代をつくるときの役に立ったらうれしい」とあと書きに書かれた作者の思いが随所から伝わってくる作品です。

(ぶどうの木代表・中村 佳恵)

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