新庄剛志氏の現役復帰は可能なのか? GG賞9度の名外野手が語る“条件”とは…

現役復帰を目指すことを宣言した新庄剛志氏【写真:Getty Images】

平野謙氏が語る新庄氏の復帰の“条件”は「60メートルをワンバウンドで…」

48歳の奇跡的な返り咲きは可能なのか――。阪神、日本ハム、メッツ、ジャイアンツで活躍した新庄剛志氏が昨年11月に突如ぶち上げた現役復帰宣言。打撃はもちろんのこと、戦力たり得るのに欠かせないのが守備である。中日、西武、ロッテの計19年間でゴールデングラブ賞を9度受賞し、日本ハムコーチ時代には新庄氏を指導した平野謙氏が、外野守備の側面から復帰の“条件”について語った。

型破りな「新庄劇場」は、すでに開演しているのかもしれない。現在は自身のインスタグラムなどで積極的に情報を発信している新庄氏。今年6月に出演したラジオ番組では、球団からのオファーを待っているのと同時に、例年シーズン後に実施される合同トライアウトも視野に入れることを語っていた。現役最終年となった2006年にコーチとして共に戦った平野氏は、無謀とも思える挑戦にエールを送る。

「できる、できないは別にして、野球に育てられた人間だから、また野球の世界に入っていくというのはいいことだと思います。それが、たとえ話題作りだったとしても。本人にはいま取り組む時間もあるでしょうし」

ただ、復帰すると言ってすぐにできる世界ではないのも、また事実。新庄氏の現在の身体的なコンディションは計りかねるが、平野氏は外野手として欠いてはいけないひとつの指標を掲げる。「バックホームなどで外野手が投げる距離はせいぜい60~70メートル。その距離をワンバウンドでしっかり投げられたら、やれると思います」。

日本ハムのコーチも務めた平野謙氏【写真:編集部】

平野氏は新庄氏と06年日本ハムでコーチ、選手の間柄だった「年齢は全然関係ないですよ」

もちろん、現役時代の新庄氏の図抜けた能力は、よく知っている。「守備は上手、確かに肩も強く、体の使い方も上手かった」。選手とコーチの関係で、共にチームの日本一に貢献した2006年の記憶も呼び起こす。よく覚えているのは、守備位置。平野氏が考える通常の位置よりも深く守る新庄氏に意図を聞くと、らしい答えが返ってきたという。

「頭の上を越えて後ろを抜かれると、かっこ悪いじゃないですか」

投手にとっては外野の頭を越える痛打より、内野と外野の間に落ちるポテンヒットの方が、ダメージは大きいと平野氏は思っていただけに、その一言に面食らった。「もう少し前に出て守ってほしい」と言うと、最初は従ってくれたが、いつしか守備位置はズルズルと後ろに……。我が道を行く“宇宙人”らしい考えは、今では微笑ましい思い出だ。

現役時代と同じく、その一挙手一投足が球界の注目を集める特別な存在であることには間違いない。挑戦を続ける新庄氏に、平野氏は期待を込めて言う。「年齢は全然関係ないですよ」。50歳を目前にした男が、再びプロ野球のユニホームに袖を通した姿を見てみたい。(小西亮 / Ryo Konishi)

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