住宅ローンの借入額には、年収も大きく影響します。「自分の年収だと、いくらまで借りられるのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は「年収300万円」の人に向けて、借り入れできる金額や限度額をシミュレーションしてみました。年収が少なくても、自己資金を増やしたり夫婦で協力したりと住宅ローンを借りる方法はあるのです。また、住宅ローンの金額以外にも用意すべきお金があります。
この記事では、年収300万円で借りられる住宅ローン金額をはじめ、用意しておきたい自己資金や借入金額を増やす方法をご紹介します。
《目次》- 目安は年収の5倍~6倍
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目安は年収の5倍~6倍
日本の平均年収はおよそ400万円であることを考えると、年収300万円は若干低めの年収といえます。しかし、年収が低いと言ってもマイホームを購入することは可能です。まずは、年収300万円でいくらまで借り入れできるのか、限度額はいくらなのかを具体的に見ていきましょう。
借入可能な金額の計算式
一般的に住宅ローンは年収の5~6倍まで借り入れできるといわれています。つまり年収300万円だと、300万円×6の1800万円までなら借り入れ可能という考え方ができるのです。借り入れ可能な金額の計算式は、簡単に言うと以下の通りです。
月々の返済可能額(A)÷
「100万円を年利○%、○年返済で借りた月々の返済額」(B)×100万円(C)
この条件で、実際に計算してみます。
・年収:300万円
・返済比率:30%(年収400万円未満の一般的な割合です)
・(B)は、100万円を年利4%、35年で借りた場合で計算
まず、年間の借入可能額を算出します。
・300万円(年収)×30%(返済比率)=90万円(年間の借入可能額)
次に、月々の返済可能額を算出します。
・90万円(年間の借入可能額)÷12カ月=7万5000円
100万円を年利4%で借入、35年で返済した場合の月々の返済額は「4428円」となるので、借入可能額は以下の通りです。
・7万5000円(月々の返済可能額)÷4428円×100万円=約1700万円
上記の計算で見ると、年収300万円の人が借り入れできる金額は「1700万円」となりました。(ただし、他の借入状況や年利によって金額は上下します。)
限度額をシミュレーション。月々の返済額は?
年収300万での住宅ローン借入額は2000万までに設定。月々の返済負担率を25%以内に抑えると無理なく支払える
では、年収300万円の場合の限度額と返済額をシミュレーションしてみましょう。
・シミュレーション条件
年収 300万円 借入期間 35年 他の借入状況 0円 返済方法 元利均等返済 ボーナス払い なし 金利 1.29%
※フラット35を利用
※楽天銀行のシミュレーションを使用
・シミュレーション結果
項目 金額 借入可能額 2533万円 総返済額 3150万円 月々の返済額 7万4977円
シミュレーターで計算した結果、借入可能な金額はおよそ2500万円となりました。住宅ローンにはかならず金利が上乗せされますから、トータルの返済額で見るとおよそ3000万円以上は必要です。
小さい子どもがいれば当然教育費はかかりますし、食費も年々上がっていきます。40代以降は介護保険料も発生することを考えると、年収300万円に対して月々の返済額が7万円はかなりギリギリといえます。
今回は固定金利でシミュレーションしましたが、変動金利ならもっと低くなります。(しかし金利上昇リスクもあります)。また、ボーナス払いは0円でシミュレーションしていますが、ボーナス払いも検討している場合はさらに借り入れできる金額は上がるでしょう。今回は返済期間を最長の「35年」で計算しましたが、年齢によっては35年で契約できないこともあります。
返済負担率が25%以下だと無理なく支払える
フラット35の場合、「年収400万円以下の場合の返済負担率は35%」と決めています。しかし年収300万円で生活する場合、返済負担率は「25%以下」を目安とするともっと支払いが楽になるでしょう。年収300万円で返済負担率を25%とすると、月々の返済額は約「6万2000円」となります。
月々6万2000円で借りられる金額は、約2000万円です。(ボーナス払いなし、借入期間35年の場合)「月々の支払いは無理をしたくない」という場合は、借入額を「2000万円」として計画していくとよいでしょう。
年収が300万円の場合、手取り額はおよそ250万円、月々の生活費は「20万円程度」と算出できます。毎月20万円の中から住居費以外に食費や教育費といった出費を考えると、住居費だけ割合を増やすことはできません。
家計に余裕がなければ老後資金など将来の貯蓄もままなりませんから、家計のバランスを考え、住宅ローンで無理をすることがないように気を付けましょう。
自己資金はいくら必要?
自己資金とは頭金や諸費用など、住宅ローン以外に充てる資金をいいます。当然自己資金は多いほうがよいですが、月々の生活費や貯蓄のことも考えなくてはいけません。
自己資金として必要なお金の内訳
住宅ローンで必要となる自己資金には、住宅ローンに関係するもの・住居に関係するものの2種類があります。自己資金に充てられる項目の一覧と、その相場をご紹介します。
項目 相場 手付金 住宅価格の5~10% 諸費用 住宅価格の5~10% 仲介手数料(中古物件の場合) 住宅価格の7~12% リフォーム費用(中古物件の場合) 800万円
(80㎡でスケルトンリフォームの場合) 家具やインテリア費用 100万円程度 引越し費用 11万円程度
(3人世帯で同一県内に引っ越した場合)
上記のように、住宅ローン以外でもさまざまな費用が発生します。しかし仲介手数料やリフォーム資金は中古物件にのみ必要な資金なので、新築の場合は必要ありません。また、家具やインテリア費用はマイホームになるとついお金を掛けがちですが、ネットショップやリサイクルショップなどを賢く使うことで大きく節約できます。
同様に引越し費用も複数社から見積もりを取り、値段を見くらべるようにしましょう。引っ越し料金の値下げ交渉を考えているなら、少なくとも引越し日の1か月前から準備する必要があります。あるアンケート調査によると、自己資金の平均額は740万円と出ていました。最多は1000万円以上なのですが、2番目に多いのは「100万~300万円未満」です。
自己資金の中でも、特に注意が行きがちなのが「頭金」です。頭金を多く準備できれば、同じ金融機関の住宅ローンでも金利が優遇されるケースが多く、月々の返済額を抑えることができます。また、年収に対して高額な物件を検討している場合でも、頭金が潤沢にあれば返済負担率が低くなり審査に通りやすくなるのです。
頭金なしでも住宅ローンを組める?
一般的に住宅ローンを契約する場合、頭金として「物件価格の2割ほど必要」といわれていました。頭金があれば金利が優遇されたり審査が通りやすくなったりしますが、数百万円ものまとまった資金の準備はなかなか簡単ではありません。そこで最近では、「頭金0円」でマイホームを購入する人も増えています。
頭金や自己資金を準備しないということは、それらも含めてローンを組むということです。このように自己資金も含めてローンを組む方法は、「フルローン」といわれます。
フルローンはまとまった自己資金が不要なので、貯蓄がなくてもすぐマイホーム購入に踏み切れます。数年かけて頭金を貯金するよりは、金利水準が低い今の時期にローンを組んでしまったほうがいいという見方もあるのです。
しかし、月々の返済額が増えるという点も忘れてはいけません。また、頭金0円で住宅ローンの審査に申し込めば「計画性がない」という判断をされるリスクもあり、頭金がある場合よりも審査は厳しくなるでしょう。
頭金なしでも住宅ローンは組めますが、上記のような注意点も押さえておくべきです。今後のマネープランをしっかり話し合い、無理のない返済計画を立てる必要があります。
借入金額を増やすには
「今の年収は300万円だけれど、3000万円以上の住宅ローンを契約したい」といった場合、借入金額を増やす方法を検討しなくてはいけません。借入金額を増やす方法としておすすめの、3つの方法をご紹介します。
配偶者と収入合算する
夫婦で共働きをしているなら、ペアローンを組むという選択肢も。ただし、デメリットもあり
もし配偶者も働いて給与を得ているなら、その配偶者と「収入合算」することで借入金額を増やせます。たとえば夫が契約者で妻の収入を合算する場合、妻が夫の連帯保証人となります。
収入合算の場合は1本のローンという扱いになりますので、万が一契約者が死亡した場合は団信が適用されます。つまりローン返済は免除され、連帯保証人である妻に返済の義務は発生しません。
夫婦でローンを組むことも検討しているなら、「ペアローン」という方法もあります。ペアローンの場合は2本のローンという扱いになるので、どちらか一方が万が一死亡した場合、返済義務が免除されるのは死亡した1人のみです。しかし両方が住宅ローン控除の対象になるので、節税効果は高くなります。
頭金をできる限り多く用意する
前述したように、住宅ローンでは頭金が多いほど有利になります。頭金を多く用意する方法としては、以下の2つがあります。
・自分たちの貯蓄を頭金へ回す
・親から援助してもらう
もし貯蓄に余裕があるなら頭金へ回したほうがいいですが、頭金に回しすぎて家計がショートしないように気を付けましょう。だいたいの目安として、3か月~6か月程度の生活費を残しておくことをおすすめします。
「頭金が多いほど返済が楽になる」と思うと、ついつい貯蓄をつぎ込みがちです。しかし、マイホーム購入には何かとお金がかかります。「いくら頭金に使えるか?」という考え方よりも「手元にどれくらい資金を残すべきか?」という事を念頭に置くと、失敗を防げるでしょう。
また、「自分たちでなかなか頭金を用意できない」という場合、親の援助を受ける人も少なくありません。援助を頼めるのであれば、お願いしたほうがいいでしょう。しかし、親子間であっても生前贈与なら贈与税が発生することがあるので注意が必要です。
年間「110万円」を超えるなら、贈与税がかかる可能性があります。しかし、両親や祖父母といった直系尊属から贈与を受ける場合は、確定申告を行うことで1200万円まで非課税枠を利用できます。
すまい給付金を使う
すまい給付金とは、2019年の消費税率引き上げに伴い新設された給付金制度です。(2021年12月まで実施予定。)住宅ローン減税と合わせて優遇されるので、自己負担を大きく減らすことができます。
年収510万円以下なら最大で30万円の給付金がもらえるので、住宅ローンを検討する時ぜひ合わせて調べてみましょう。詳しくは、すまい給付金の公式サイトをご参照ください。
参照:すまい給付金公式サイト
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