夫の海外赴任に仕事を辞め帯同「夫年収700万+手当てだけで教育費と家購入費は大丈夫?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、31歳会社員の女性。夫が海外転勤になる可能性があり、仕事を辞めてついて行った場合、教育費や家の購入費に不安があると言います。FPの飯田道子氏がお答えします。

我が家の家計で専業主婦になることは可能でしょうか。

現在共働きですが、2021年度から主人が海外転勤になる可能性が高く、私は仕事を辞めて帯同する予定です。現在の貯蓄は、年間約350万増ペースで、預貯金1500万、株・投信が800万ほどです。主人曰く、海外転勤中は手当が出るため今のペースの貯蓄は可能とのことです。

懸念点は、教育費と住居費です。私が働かずに年子の教育費に耐えられるのか。また、主人が今の会社に居続ける場合、45歳までは主人の社宅が利用できるため月3万に抑えられる予定ですが、45歳で家を買うとなったらどの程度の物件価格までなら購入可能なのでしょうか。

転職するということも考えられるので、その場合、住居費が家計を圧迫することが想定され、今のペースでの貯蓄はできなくなります。主人の収入だけで、どの程度の家賃またはローンまで耐えられるのでしょうか。考え方も含めて教えていただければ幸いです。海外任期は3年予定ですが、帰国後も専業主婦を続けることは可能でしょうか。

【相談者プロフィール】

・女性、31歳、既婚

・職業:会社員(年収400万円、時短勤務)

・同居の家族:夫32歳、会社員(年収700万円)

・子ども:2人(1歳、2歳)

・居住形態:賃貸

・毎月の世帯の手取り金額:50万円(夫30万円、相談者20万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:200万円(夫150万円、相談者50万円)

・毎月の世帯の支出目安:26万円

【支出の内訳】

・住居費:3万円

・食費:4万円

・水道光熱費:1.5万円

・教育費:5万円

・保険料:0.8万円

・通信費:0(それぞれのお小遣いから)

・車両費:0万円

・お小遣い:夫5〜8万円、相談者1〜2万円

・その他: 2.5万円(日用品・医療費・レジャー費)

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:24万円

・ボーナスからの貯蓄額:100万円

・現在の貯蓄総額:1500万円

・現在の投資総額:800万円

・現在の負債総額:なし


飯田: ご主人が海外転勤になる可能性が高く、専業主婦になることを検討中の相談者様。そのなかで不安な点は、教育費と住居費とのこと。働かずに年子の教育費に耐えられるのか。45歳でマイホームを購入する場合、どの程度の物件価格までなら購入可能なのが知りたいとのことです。

固定支出をFIXしましょう

相談者様ご夫婦は、31歳と32歳と若いのですが、貯蓄もしっかりされていて、大変、立派だと思います。

ただ、ここで気になるのが通信費とお小遣いです。

通信費は夫婦それぞれでお小遣いから支払っているとのことですが、相談者様が退職した場合には、家計から出すことになります。お小遣いは、ある程度決まっているようですが、変動していますよね。

現在は、2人で働いているため、さほど気にならないと思いますが、ご主人のみの収入では年収ベースで400万円少なくなる訳ですから、通信費は家計費で捻出。お小遣いは固定制にすることをお勧めします。退職する前から固定性にしておき、その生活に慣れておくことが大切です。

専業主婦になれる? なれない?

会社にもよりますが、海外へ赴任すると手当が支給されるため、日本で生活する以上に豊かな生活になるという家庭は多くあります。ご主人の会社は、まさにそのような会社のようですね。ご主人が言う通りであるなら、収入は、今までとほぼ変わりません。相談者様の場合、時間的な余裕も手に入れることができるかもしれませんね。

帰国すると、通常の給料のみになりますが、ご主人の収入は決して低い訳ではないので、専業主婦でいることは可能でしょう。ただし、海外赴任中よりは、使えるお金は減ってしまいます。現地でも今までと同様に貯蓄しておくようにして下さい。

ストレス対策でお小遣いも確保して

ただ、退職すると、相談者様の収入は無くなってしまいます。気分的に、寂しくなったり、自分の収入がないことに不安を感じることがあるかもしれません。

赴任先にもよりますが、駐在員の妻としての負担があることも考えられますし、法律の違いなどで子育てに戸惑いを覚え、ストレスを感じる人もいます。ストレスの発散方法はいろいろですが、自由になるお金があるのは何かと心強いものです。家計から、自分のお小遣いを捻出できるよう、予算立てしておくことをお勧めします。

失業保険の手続きも忘れないで!

ご主人の海外赴任は、3年を予定されているとのこと。帰国してからも専業主婦でいることを考えていらっしゃるようですが、いつでも仕事が再開できるよう、準備だけは整えておくと良いでしょう。

それは、失業保険の受給期間延長です!

失業保険の受給期間延長では、妊娠や出産、子育てで働けない場合が想定されているのですが、その他、事業命令で配偶者が海外に赴任し、それに同行する場合も、受給期間延長の対象になります。

受給期間は、最長、離職日の翌日から4年以内まで延長することができます。

帰国までにいくら貯めることができる?

海外赴任がいつになるのか細かくは分からないのですが、来年4月からの場合、3月までは今まで通りのペースで貯蓄できますし、現地へ行っても、同等のペースで貯蓄できると思われます。

そうすると、日本へ帰ってくるまでにできる貯蓄額はおおよそ1500万円。総額で3000万円程度になっていることが予想されます。その時点でご主人は35歳。45歳までの残り10年間で毎月5万円、ボーナス時100万円を貯蓄していくと、貯蓄額は1600万円。総額では約4600万円、貯まっていることになります。

もちろん、その間には、教育費などの支出に変動があると思います。おおよその目安として、捉えて下さい。では、具体的にいくらくらいの物件が購入できるのかをシミュレーションしてみます。

いくらの物件なら購入できるか?

フラット35クイックシミュレーションを利用して、年収700万円で、金利年1.8%、20年のローンを利用する場合、借入可能額は4112万円でした(65歳での完済プラン)。
このときの毎月の返済額は14.3万円。ボーナスの割合を30%とした場合には、ボーナス時の増額は36.9万円です。

この頃になると、お子様も大きくなっていらっしゃいますので、相談者様も働くこともできますし、ご主人の年収も上がっているかと思います。

あとは頭金次第です。2000万円程度は捻出できると思いますので、約6000万円の物件を購入することは可能と言えます。

この数字は、あくまでも「今の段階では、こうなるかも」という程度に過ぎません。
13年後には、ご主人の働き方などにも変化があるかもしれませんし、不動産相場も変わっているかもしれません。とはいえ、ある程度の目安を知ることは大切です。適宜にシミュレーションなどをしながら、返済計画を含めて、物件を選んでいって下さいね。

海外暮らしで得られるものは大いにあります。素晴らしい滞在になりますように!

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