こんなリアリティ番組は嫌だ!! シュワちゃんが命がけの殺戮ゲームに挑む近未来アクション『バトルランナー』

『バトルランナー』

2020年7月9日(木)午後1:35から午後のロードショー(テレビ東京)にて、スティーヴン・キング原作、アーノルド・シュワルツェネッガー主演のディストピア・アクション・スリラー『バトルランナー』(1987年)が放送される。物語の舞台は2017年、すでに現実が映画を追い越してしまったが、この先こんな世界にならないという保証もないので、本作を観て頭と心の筋トレをしておこうではないか!

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80年代シュワ人気にあやかったエンタメ純度の高い快作!

1987年のシュワちゃんといえば、『ターミネーター』(1984年)と『コマンドー』(1985年)の後、そして『プレデター』が公開されたタイミング。当時すでに40歳だったシュワちゃんだが本作の衣装は露出度がかなり高く、脂の乗りきったシュワ筋が拝めるという意味でも必見だ。<ランニング・マン> なる殺人ゲームがTV放送されて大人気を博しているアメリカを舞台に、主人公のベンが無慈悲なポカスカ&ドンパチを繰り広げる、当時のシュワの人気爆発を受けて製作されたであろうエンタメ純度の高い逸品である。

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And happy Father’s Day to my dear daddy! I love you so much ♥️

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この<ランニング・マン> というゲームは古代ローマの剣闘士、つまり映画『グラディエーター』(2000年)で描かれたようなタマ(命)の取り合いを観客が観て楽しむという終末エンタメ。分かりやすく例えると、ガチの殺し合いが行われる「風雲! たけし城」みたいな感じで、挑戦者=犯罪者たちが複数ステージを順にクリアしていくというシステムだ。ただし待ち受けているのは筋骨隆々のマッチョメンで、各々アナログな武器を手に全力で挑戦者を殺そうとしてくる。

『バトルランナー』

そんな処刑人(ゲームの視聴者にとっては正義の処刑人)がどいつもこいつも強烈で、オペラを歌う電流攻撃マンのダイナモ、切れ味バツグン電ノコ野郎バズソー、火炎放射おじさんファイヤーボールなど、マンガ的なキャラクター設定はシンプルに楽しい。ただし死にっぷりもなかなか豪快なので、幼少期にTV放送で観てトラウマになったという人も少なくないのでは? ちなみにエンドロールにもひとネタあるのだが、今回はノーカットで放送されるのかも確認したいところだ。

こんな未来ありえないでしょ!……と思えないところが怖い!!

粗暴な野郎共と醜悪なテレビマン、扇動される無知な観客という救いのない世界(&汗くさい画面)に光を差すのは、マリア・コンチータ・アロンゾ演じるアンバー。彼女の役どころは紅一点という以上に重要で、物語の起点であり中盤以降のストーリー展開にもスパイスを効かせている。ヤフェット・コットー演じる仲間のウィリアムもなかなか頑張るのだが、冒頭から死亡フラグびんびんなので観ていてちょっとつらい。

『バトルランナー』

なお本作には「司法省のエンターテインメント課」というパワーワードが出てくるが、いま観ると案外笑えないというか、現在の日本政府に対して「そんなところでフィクションに追いつかなくていいよ!」とツッコみたくなること請け合い。リアリティ番組の過剰な仕込みが問題視される2020年、この能天気なはずの80年代エンタメ映画が、人命を奪いかねない社会の嘘や欺瞞を厳しく突きつけてくる。

『バトルランナー』は2020年7月9日(木)午後1:35からテレビ東京「午後のロードショー」で放送

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