年収から住宅ローン借入可能額の目安を試算。年収の何倍?いくらまで借りられる?

住宅ローンで借りられる金額はさまざまな条件によって異なります。正確な借入可能額を割り出すことは難しいものの、目安の金額を試算することは可能です。こちらでは、住宅ローンの借入可能額に関する基本的な知識や、年収別の金額の目安などをご紹介します。

《目次》- 住宅ローンは年収の何倍が上限?

住宅ローンは年収の何倍が上限?

「借入可能額」とは、住宅ローンを借りられる限度額のことです。住宅ローンの借入可能額は、借入者の条件や金融機関の設ける規定など、さまざまな要素で変わります。一般的には年収の5倍程度が上限といわれていますが、人によってはそれ以上に借りられることもあるようです。

年収・勤務形態別にシミュレーション

住宅ローンを組む際は、借りる方の年収や勤務形態などを考慮して借入可能額をシミュレーションします。

正規雇用の会社員・公務員の場合は、上記に加えて勤続年数や会社の規模なども判断基準とされます。勤続年数が長く、会社の規模が大きいほど借入可能額は上がる傾向にあります。

契約社員やアルバイトのような非正規雇用者や、個人事業主などの自営業者は、安定した収入が見込めないと判断されると、借りられる金額が低くなるか、審査に通らないことがあります。また、取締役をはじめとした会社役員の方は、正規雇用の会社員・公務員と比べて借入可能額が変わります。詳しい借入可能額を知りたい場合は不動産の専門家に問い合わせてみるのがおすすめです。

購入する物件価格は「頭金+住宅ローン借入額+諸費用」で試算

現在の年収で買えるマイホームの金額を試算したいときは、「頭金」と「住宅ローン借入額」、「諸費用」を割り出してみましょう。それぞれを足すと、無理なく購入できる物件の金額がわかります。より正確な金額を出したい場合は、専門家に相談しましょう。

限度額いっぱい借りても良い?メリットとデメリットをチェック

住宅ローンを上限ぎりぎりまで借りるメリットは、住宅ローン控除額が増えることです。住宅ローン控除額は、残高の1%と定められています。残高が多いほど控除額も大きくなるため、還付される税金が増えるかもしれません。

ただし、控除が増えておトクになるかどうかは、条件次第で異なります。限度額いっぱいの金額を借りるデメリットについても把握しておくことが大切です。

「返せる額」と「借りられる額」

同じ収入の家庭でも、それぞれのライフスタイルや家族の人数によって支出金額は異なります。住宅ローンの借入可能額を上限ぎりぎりまで借りたとしても、長年にわたって無理なく返済していけるとは限りません。余裕をもって支払いを続けていくためには、「借りられる額」だけに注目するのではなく、「返せる額」についてもしっかりと考慮するのが大切です。

返済負担率(返済比率)は25%を目安に

返済負担率(返済比率)とは、年収のなかで占めるローン返済額の割合のことを指します。利用する住宅ローンや年収などの条件により、返済負担率は変わります。返済負担率の上限は30~35%と定めている金融機関が多いものの、無理なくローンを支払っていくためには、25%を目安にしておくと安心です。

ただし、借入希望金額が金融機関の定める返済負担率を超えてしまうと、審査に通らないことがあるため注意しましょう。借入希望金額を試算する際は、返済比率を高めに設定しておくのがおすすめです。

住宅ローンを借り入れるときに必要なお金

借り入れの際には、頭金をはじめ諸費用が必要。借りた後も、毎月のローン返済のほか、各種税金や管理費の支払いも必要になる

住宅ローンを借りる際は、頭金をはじめとするさまざまな費用が必要です。また、購入時の代金や毎月のローン返済以外に、各種税金や管理費の支払いも必要になる点をおさえておきましょう。

頭金

頭金とは、物件の購入価格から住宅ローン借入額を引いた金額のことです。物件の契約時に一括で支払います。頭金を多めに用意できれば住宅ローン借入額が減り、毎月の返済が楽になります。

頭金は貯蓄から捻出したり、親族から借りたりして用意することがほとんどです。たくさん支払えば毎月のローン返済額は減るものの、一時的に手元に残る現金が少なくなる点には注意が必要です。今後の資金計画を見て、どの程度支払うべきか判断しましょう。

諸費用

住宅ローンを借りるときは、以下のような諸費用が発生します。

・印紙税
・事務手数料
・保証料
・抵当権設定費用
・団体信用生命保険料
・火災保険料
・抵当権設定費用
・司法書士報酬 など

費用総額の目安は、新築の場合は物件価格の3~5%、中古の場合5~8%といわれています。頭金と同じく、購入時に支払うものがほとんどです。

毎月の返済額のほかにかかる費用

マイホームを買うと、毎月のローン返済以外にもさまざまな費用が発生します。家計への負担が少ない返済計画を立てるために、以下の費用についても抑えておきましょう。

■不動産にかかる税金

家や土地などの不動産を購入したら、所定の税金を納める必要があります。主なものは「固定資産税」や「都市計画税」などです。その年の1月1日時点で所有していた不動産にかかる税金で、税率はお住まいの市区町村によって異なります。

また、物件を購入した際に一度だけ納付する「不動産取得税」もあります。こちらも自治体によって税率が異なります。

上記の税金はそれぞれ軽減措置が適用されるケースがあります。物件の購入前にぜひ調べておきましょう。

■マンションならではの費用

マンションを購入した場合は、管理組合に管理費や修繕積立金を支払います。これらのお金は共用部分のリフォームや、定期的な大規模修繕に使われます。金額はマンションによってさまざまです。

年収別一覧表とシミュレーション

住宅ローンの借入可能額は借入者によって異なりますが、おおよその金額を計算することは可能です。こちらでは、年収別に住宅ローンの借入可能額をシミュレーションします。

年収300万円の場合

住宅ローンの借入可能額を求めたいときは、まずは年間返済額の上限を計算して求めてみましょう。計算式は以下の通りです。

(返済負担率×年収)-ほかのローンの年間返済額=年間返済額の上限

返済負担率は、住宅ローンを扱う金融機関によって異なり、年収が低いほど返済負担率も低くなる傾向にあります。返済負担率30%、年収300万円、ほかのローン支払いは無しと仮定すると、年間返済額の上限は90万円になります。この数値をもとに、借入可能額を試算してみましょう。計算式は以下の通りです。

年間返済額の上限÷12÷審査金利を適用した100万円あたりの毎月の返済額×100万円=借入可能額

審査金利とは、金融機関がローンの審査を行う際に適用する仮の金利のことです。たいていは3~4%と、実際に支払う金利よりも高く設定されています。審査金利4%で35年のローンを組むと想定した場合、100万円あたりの毎月の返済額は4428円です。上記の式に当てはめて計算すると、年収300万円の場合の借入可能額は約1693万円となります。

年収400万円の場合

年収400万円を超えると、返済負担率が上がるケースが多く見られます。年収400万円、返済負担率35%、その他のローン支払いは無し、審査金利4%と仮定した場合、借入可能額は約2635万円です。

年収500万円の場合

年収500万円の場合も、返済負担率は35%として計算するのが一般的です。年収500万円、返済負担率35%、その他のローン支払いは無し、審査金利4%と仮定した場合、借入可能額は約3293万円です。

年収600万円の場合

年収が600万円以上になると、金融機関によっては返済負担率を40%にアップして借入可能額を試算することがあります。年収600万円、返済負担率40%、その他のローン支払いは無し、審査金利4%と仮定した場合、借入可能額は約4517万円です。

年収700万円の場合

年収700万円の場合も、返済負担率を40%として計算してみましょう。年収700万円、返済負担率40%、その他のローン支払いは無し、審査金利4%と仮定した場合、借入可能額は約5270万円です。

年収800万円以上の場合

年収800万円以上になると、借入可能額もかなり上がります。借りすぎには十分に注意しましょう。年収800万円、返済負担率40%、その他のローン支払いは無し、審査金利4%と仮定した場合、借入可能額は約6022万円です。

住宅ローンの審査は年齢も重視

年収や職業だけでなく、年齢や健康状態などが審査対象になることも

住宅ローンはさまざまな条件を審査したうえで借りることができます。審査の際は年収や職業だけでなく、年齢や健康状態なども見られる点に気をつけておきましょう。

住宅ローンを借りられる年齢は、一般的に20~70歳です。返済期間は35年、返済完了は80歳までと想定している金融機関が多いため、逆算して45歳までにはローンを組んでおきたいところです。

また、住宅ローンを組むときには「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められます。健康状態に問題がある場合や、規定の年齢を超えている場合などは、団信へ加入できません。そうなると住宅ローンも組めなくなるため注意しましょう。

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