被災した歴史史料「破棄しないで」 歴史学者ら呼び掛け 熊本県南豪雨 

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床上浸水の被害を受けた青井阿蘇神社の拝殿。入り口の柱は泥が付着して黒く変色しており、浸水した高さがうかがえる=5日、人吉市(高見伸)

 豪雨に見舞われた熊本県人吉球磨地域には文化的価値の高い寺社や仏像などが多く残るが、国宝の青井阿蘇神社(人吉市)が浸水するなど大きな被害を受けた。今後、県などが被害状況の調査を進めるとともに、被災した古文書などの歴史史料を救出しようという動きも出ている。

 人吉球磨地域は、相良氏の約700年にわたる一貫した統治によって神社仏閣や仏像、関係史料などが数多く残っている。2015年には日本遺産に認定されている。

 県によると、現時点で被害が確認されているのは(1)青井阿蘇神社=拝殿が床上浸水、楼門の冠水、橋欄干の一部損壊(2)国史跡・大村横穴群(同市)=崖崩れが起き、周辺の遊歩道で柵が壊れる(3)国史跡・人吉城跡(同市)=のり面崩落(4)国登録有形文化財・くま川鉄道球磨川第四橋梁[きょうりょう](相良村・錦町)の流失。

 県文化課は「被災者への災害対応の状況も見ながら、市町村と連携して文化財に関する被害の調査に努める」としている。

 一方、県内の歴史学者や学芸員らでつくる「熊本被災史料レスキューネットワーク」は、住民の「宝」として地域で長年受け継がれてきた文化財をいち早く救出しようと、被災史料の保存を呼び掛けている。同ネットワークは、熊本地震の際も県などと連携して多くの史料を救出した。

 被災地では、これから家屋での片付けなどが本格化する。ネットワーク代表の稲葉継陽・熊本大永青文庫研究センター長は「現代の技術では被災史料などは修復できる可能性があり、泥や水で汚れていても破棄せず、保存しておいてほしい」と話している。

 同ネットワークTEL096(342)2304。(園田琢磨)