「判決理由、聞けますか?」泣き続けた7歳長女刺殺の母親に猶予刑 神戸地裁

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兵庫県猪名川町で2019年9月、当時7歳の長女を殺害したとして殺人罪に問われた母親(43)の裁判員裁判で、神戸地裁は8日、母親の刑事責任能力を認め、懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。

裁判で弁護側は、母親が事件当時、物事の良し悪しを判断できなかったと主張、刑罰を科さない「心神喪失状態」だったとして無罪を主張していた。

神戸地裁

判決によると、母親は2019年9月8日未明、兵庫県猪名川町の自宅2階の寝室で当時7歳(小学2年)の長女の首や腹を包丁で刺して殺害した。母親は「娘と一緒に死にたかかった」などと話し「二度と娘の笑い声を聞けない。命の重さを感じている」と反省の言葉を述べていたが、法廷では終始泣き続け、裁判長は判決文を読み上げる前に「大丈夫ですか?(私の言うことが)聞き取れますか?」と問われる場面もあった。

■心神「喪失」か「耗弱」か

判決で神戸地裁は母親が事件前日まで普段通りに家事や育児をしていたことや、包丁を持ち娘を刺すまで約2時間もためらっていたことなど検察側の主張通り、正常な心理状態で錯乱した状態とまでは言えなかったと指摘し、あくまでも刑を軽くすべきとする「心神耗弱(こうじゃく)」状態と認定。さらに「実刑も選択肢にあったが、うつ病でなければ犯行はなかった。今後は治療に専念すべきだ」として懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。

■「罪と向き合うために…」検察幹部

この裁判で検察側は懲役5年を求刑していた。神戸地裁は日常生活に問題がなかった点や、母親が包丁を手にしてから娘を刺すまで約2時間の「ためらい」があったことなどから善悪の判断能力が著しく低く刑事責任を問うことができない「心神喪失」ではなく、あくまでも刑を軽くするにとどまる「心神耗弱(こうじゃく)」として検察側の主張を受け入れていた。

裁判長は実刑も選択肢にあったと述べたが、母親の「うつ病」による自分自身への疎外感や将来的な不安が犯行に与えた影響を考慮し、治療を優先すべきと判断した。検察幹部は「もちろん治療も重要だが、尊い幼い命を奪った重大性を感じて罪と向き合うには、やはり実刑が望ましいのではないか。母親本人は『娘と一緒に死にたかった』と言うが、刑の執行を猶予され社会復帰してから、夫や長男のもとに帰り安穏とした生活が送れるのか心配だ。決して家族を道連れにすることなく生きてほしい」と話した。