元メジャーで楽天OBの藪恵壹氏が、打撃絶好調の浅村を分析
楽天は7日、PayPayドームで行われたソフトバンク戦に3-4で惜敗した。これで連勝は3でストップしたが、4番に座る浅村が8号2ランを放つ活躍。リーグトップの本塁打数、打点を伸ばした。今季は16試合目ですでに8本塁打を記録するなど打撃が絶好調だが、その要因はどこにあるのか。元メジャー右腕で楽天OBでもある藪恵壹氏が解説してくれた。
浅村はこの日、1点を追う3回1死走者なしの場面で打席に立つと、ソフトバンク千賀の投じた124キロ内角低めのカーブをすくい上げるように左翼へ運んだ。藪氏は「バットを上手く使った一発」と高く評価する。この日まで打った7本のホームランのうち6本が試合を決める重要なアーチで、8号ソロもまた試合を振り出しに戻す同点弾。「勝負強さは昔からあった」と話す。
「ピッチャーとしては投げづらいですよ。特に今年は効果的な一発を打ってきているから。浅村選手を抑える方法があるとすれば、インコースをどれだけ意識させられるかでしょうね。これはソフトバンクの柳田選手にも共通して言えます。インコースに意識付けできたら、少し外に隙ができるかなと。バッテリーは打者の反応を見る意味もあるんでしょうが、いろいろなボールを散りばめて攻めると、逆に浅村選手の術中にはまると思いますよ。しつこいくらいインコース。シュート系でグリップに近いところで動く球で攻めたいですね」
ホームランだけではなく高打率も残す浅村について、藪氏が高く評価するのは「やっぱりバットが振れること」だという。豪快なスイングは投手に心理的プレッシャーをかけることになる。
「豪快にバットを振られると、間違ったところに投げたらホームランになるなという意識が働く」
「バットが振れているかどうかは、マウンド上でピッチャーも感じています。ボールを投げてキャッチャーミットに届くまでの情報として、打者のバットの軌道も記憶の中に残ります。その情報を元に、インハイはバットが出にくいかな、とか、アウトローが苦手だな、とか、攻め方を考える。ただ、豪快にバットを振られると、間違ったところに投げたらホームランになるなという意識が働くんですね。そうすると、間違ったところに投げてしまうという(笑)」
ただ、今年の楽天打線は浅村だけを注意すればいいわけではない。ロッテから移籍してきた鈴木大、オリックスから移籍してきたロメロ、島内らが打率3割をキープ。チーム打率も3割を推移するハイレベルを誇る。
投げては、先発陣ではエース則本、故障から復帰した岸、ロッテから移籍してきた涌井のほか、長身左腕の弓削が好投。救援陣は、クローザー森原に加え、牧田、ブセニッツら層が厚く、この日の試合前まで防御率1.07という驚異の数字を叩き出している。
現在、リーグ首位を走る楽天だが、このまま好調が続くのだろうか。藪氏は「まだ判断するには早いですね」としながらも「面白い存在になりそう」と期待を寄せる。
コロナ禍によりイレギュラーなシーズンを送るNPBだが、特にパ・リーグは移動回数を減らすため同じチームと6連戦を行うスケジュールになっている。一筋縄ではいかない様子の2020年。楽天の今後に注目だ。(佐藤直子 / Naoko Sato)