国交省、分散型社会へ通信網や産業など議論

国土交通省は7月8日、国土審議会計画推進部会の「国土の長期展望専門委員会」の第7回会合を開催。新型コロナウイルス感染拡大が国土や社会に及ぼす影響について話し合われ、テレワーク普及や東京一極集中を避けた分散型社会などが論点として取り上げられた。

総務省の調べによると2019年の個人のインターネット利用は89.8%。東京都では95.7%で最下位の青森県は80.0%。パソコンやスマートフォンなど端末の利用も都市より地方が低い。2019年3月末時点での光ファイバーの普及率は98.8%に達しているが地域差がある他、テレワーク実施者の課題として「Wi-Fiなど通信環境の整備」を45.1%が挙げており、利用が進んでいない面もある。テレワークは全国の就業者のうち4~5月は25%実施していたが、6月には17%に低下している。東京圏への転入は2019年で10代後半~20代の若者が91.1%を占め、進学や就職が主な理由となっている。

参加した委員からは「かつては国会など首都機能移転の話もあったが、今はテレワークなどで東京に縛られない生活もできる」「若者にとって魅力ある産業を、東京でなくてもやっていくことが大事」など、新型コロナの影響で広がる働き方の変化やライフスタイルの多様化への対応に加え、労働制度の柔軟化、7月4日からの九州地方や中部地方の豪雨もあり防災対策なども指摘された。

国交省では中長期的な課題を整理し、10月に2050年の国土の姿と課題解決に向けた方向性の他、新型コロナ問題を踏まえた今後の展望についても公表する予定。2021年夏ごろに最終的なとりまとめを行う。

東京圏への流入は10代後半~20代の若者が9割超となっている

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