イニエスタのゴールに歓喜して下半身不随になった男性、イニエスタに感謝する

スペイン代表が初めてワールドカップを制した2010年。オランダとの決勝戦で優勝をもたらす決勝ゴールを決めたのは、アンドレス・イニエスタだった。

その伝説的ゴールシーンがこれだ(以下動画5秒~)。

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延長戦も残りわずかというなかでの値千金のゴール!

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当時スペイン国内は歓喜に沸いたが、ある男性の身に悲劇が起きていた。『Marca』がその男性の話を伝えている。

2010年7月11日、ログローニョ近郊のパビリオンで友人たちと試合を観戦していたルイス・マリア・ディエス・ピカソさん。

イニエスタのゴールで国中が歓喜するなか、ルイスさんは噴水に乗るも滑って転倒。その衝撃で首を骨折しており、友人たちがいなければ肺に水が溜まったまま溺死していたという。

数分後に到着した救急車で搬送されたルイスさんは自らの身に起きたことが分かっていたそう。首に痛みがあり、体が動かなかったのだ。

ブルゴスの病院で手術を受けなければいけなかった彼は妹から脊髄損傷の重傷だと知らされた。5日間昏睡状態を経て目が覚めた時には、2度と歩けないとはまだ想像していなかったそう。

ルイス・マリア・ディエス・ピカソさん

「あの事故で失ったよりも得たもののほうが大きいです。

イニエスタのゴールは自分に人生を与えてくれました。

ゼロから始めなければいけませんでした。子供のように物事を学び、『しなければいけないことは何でもやる』と自分に言い聞かせたんです。

目が覚めてからすぐに看護師にテレビをもってきてと頼んだのを覚えています。

彼女はイケル(・カシージャス)とサラ(・カルボネロ)のキスやマドリッドで起きたことを教えてくれました。自分はそれを見逃していたんです」

「デタラメなことが人生を台無しにしていることに気付いた」という彼は事故によって世界観が変わり、退院後にスポーツマニアになった。そこで自分の人生が切り開かれていくのを目にしたそう。

ダイビングに情熱を見出し、地中海に近いバレンシアで潜る日々を送っているとか。水のなかでは自由を感じるという。その他にもテニス、サイクリング、パドルサーフィン、(車いす)ラグビーまでプレーしている。

ルイス・マリア・ディエス・ピカソさん

「スポーツが自分のモチベーションです。不満を言うことはありません。ジムに行っていつも何かをしています。

人生は素晴らしい。自分は立てないですって?立っていた時はやることが多過ぎました」

46歳になったルイスさんは自転車でサンティアゴ巡礼をすることも考えているそう。別れ際には「イニエスタのゴールは自分の人生を救ってくれました」と繰り返し口にしていたとのこと。

なお、イニエスタは入院中に励ましのメッセージを送ってくれたそうだ。

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