かつて世界最高のフリーキッカーに君臨した元ブラジル代表MFジュニーニョ・ペルナンブカーノ。
必殺の無回転キックで世界中のGKたちを震え上がらせた。そのスゴさが分かる一撃がこれだ(以下動画2分54秒~)。
軌道がおかしい…。レアル・マドリーGKイケル・カシージャスも餌食になっている。
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そのジュニーニョが『Guardian』のインタビューで様々な話題を語った。
ジャイール・ボルソナロ大統領やブラジル国内での人種差別などについて語り、2時間半のインタビューで30分ほど涙を流していたそう。
現在は古巣リヨンでスポーツディレクターを務め、フランスで暮らしているジュニーニョ。彼は2018年にもうブラジルでは暮らしていけないと感じ、アメリカに出国し、1年後にフランスに移った。
新型コロナウイルスの感染者が世界で2番目に多いブラジルでは、ボルソナロ大統領のもとで不平等と人種間の緊張も高まっているという。ジュニーニョはボルソナロ大統領とその政治に対する意見の相違で、親族や友人の8,9割とは絶縁状態にある(ジュニーニョは反ボルソナロ)。
ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(元ブラジル代表MF)
「ブラジルの教育制度は貧弱だ。裕福な人々は教育に投資しなければいけないと言う。でも、どうやって?
我々は空腹と戦わなくてはならない。それは(前大統領)ルーラが言っていたことだ。
空腹では自信など持てない。自分の子供に一日三食を与えることができない父親や母親を想像して欲しい。
だが、教育よりも大事なのが尊厳だ。人間の尊厳は我々全員が持つ必要のある権利だ。
申し訳ない、この話題だと感情を堪えきれない…」
「ひどく悲しい。絶望だ。
我々は全て間違ったことをやっている。世界中の国がやっている全てに反している。
私はブラジル人だ、自分たちが貧しい国であることも、国民は働かなくてはいけないことも分かっている。
だが、これは命の問題だ。
ロックダウンすれば、(コロナ禍の)終わりに近づけるかもしれない。でも、そうなっていない…。今の我が国を見るのは絶望的だ」
ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(元ブラジル代表MF)
「2018年の大統領選の第2ラウンドが始まった頃、自分は人々に話をしようとした。映像や起きている全てを見せようとした。
ボルソナロはWhatsAppとフェイクニュースの息子だ。大多数が彼を支持し、彼らから離れることが私の決断だった。
なかには当時の判断を後悔している人もいる。彼らはボルソナロが唯一の選択肢だと思っていた。
ブラジルの権力層(支配者層)には共感というものがないし、我々にもそれを持つなと説いている。
エリートはこの国の財政的不平等がどれほど大きいかを理解していない。それがさらに大きくなれば暴力が起きるだろう。
いま我々はそれが解明されるのを見ている。我が国には素晴らしいジャーナリストたちがいるが、進み出て伝える出版社はない。
2018年は4200万人以上が投票しなかった。もしブラジルメディアが本当に仕事をしていれば、ボルソナロは決して当選しなかっただろう。
本当のジャーナリズム、それは真実を書いて皆に伝えることだ」
ブラジル国内では最近になっていくつかの動きがある。最高裁はSNSに溢れているフェイクニュースへの調査を開始し、警察当局はボルソナロの関係先を捜索したという。
ジュニーニョもそういった戦いを支援しようとしたものの、あまり成功しなかったそう。
ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(元ブラジル代表MF)
「ブラジルの選挙を決めるのは、Twitter、Facebook、WhatsAppだ。
Twitter上のフェイクニュースを通報することにウンザリしている。自分は常にメッセージを送っている。
我々の問題について彼らはギルティだが、彼らに対するアクションは何も起きていない。
Youtube上にどれほど極右のチャンネルがあるか見て欲しい。彼らはフェイクニュースを拡散させるために莫大な金を得ているが、(いまだに)Youtubeから承認されている。
(SNSメディアに)自分はほぼ毎日通報しているが、回答はほとんどない」
アメリカで黒人のジョージ・フロイドさんが亡くなった事件は世界的な話題になったが、ブラジルでも同様の事件が起きている。
6月には14歳の少年が警官によって殺され、昨年9月には8歳だった少女が警官に銃撃されて死亡。
そうしたなか、ボルソナロ大統領の息子で議員でもあるエドゥアルドは、ブラジルにジョージ・フロイドはいない(のようなケースはない)と発言している。
ジュニーニョ・ペルナンブカーノ(元ブラジル代表MF)
「これは明らかに人種差別だ。現在この国で起きている暴力的政治の証拠だ。
8歳の子供が警官に撃たれるようなことがどうして起きる?それ以降どうやって生きていくことができる?
信じられない。ジョージ・フロイドを見て欲しい。彼は息ができなかった。彼は人間だよ。
警察がどうしてあんなことができたのか想像もできない。これは人種差別であり、とてもとても悲しい」
「ブラジルには何千人ものジョージ・フロイドがいる。我々が知らない黙って苦しんでいる人が何千人もいる。
ブラジルにジョージ・フロイドはいないと言うのは非人道的だ。銃撃は毎日起きている。ゲイの人達も迫害されている。
これはボルソナロを支持する人達について自分が最も怒っていることのひとつだ。
ただ、誰も時間には勝てない。いつか誰もが自分が本当は何者かを知るだろう」