「老後はリゾート地でのんびり」ふわっと夢見る49歳主婦。その夢はいくらで叶う?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、49歳の女性。老後はのんびりリゾート暮らしが夢だそうですが、今のままの貯め方で実現するのか心配とのこと。FPの氏家祥美氏がお答えします。

老後は夫婦でのんびりとリゾート地で暮らしたいが、今のままの貯め方で実現するのか?子どもは3人とも高校から私立に通わせているが、3人分の私立大学卒業までの教育資金は既に確保してある。自宅は築14年の二世帯住宅、一括購入のためローン無し。メンテナンス等考えて総タイル張りにしてある。両親は元気で今のところ介護等無し。私の親含め老後資金の心配無し。

【相談者プロフィール】

・女性、49歳、既婚

・職業:パート・アルバイト

・同居の家族:夫49歳(会社員、手取り月収35〜37万円)

・子ども:3人(15歳、17歳、21歳)

・居住形態:持ち家(戸建)

・毎月の世帯の手取り金額:40〜42万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:53万円

・毎月の世帯の支出目安:27万円

【支出の内訳】

・住居費:なし

・食費:7.4万円

・水道光熱費:3万円

・教育費:2.4万円

・保険料:3.2万円

・通信費:3万円

・車両費:3万円

・お小遣い:4万円

・その他:1万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:15万円

・ボーナスからの貯蓄額:53万円

・現在の貯蓄総額:4000万円

・現在の投資総額:なし

・現在の負債総額:なし


氏家: こんにちは。今回は「老後は夫婦でのんびりとリゾート地で暮らしたい」というご相談を頂きました。夢の実現に向けて、今から考えておきたいことをアドバイスしたいと思います。

その夢にはいくらかかりますか?

最初に気になったのが、老後を過ごしたいリゾート地がどこなのかということです。
・国内か海外か
・移住するのか通いなのか
・一戸建てかマンションか
・購入か賃貸か
・新築か中古か
これらのどれを選択するのかによっても、かかる予算はずいぶんと変わってくるでしょう。

リゾートマンションは維持管理コストに注意

例えば、都心からも割と近いリゾート地に熱海や伊豆などがあります。このあたりに対象を絞ってリゾートマンションを探すだけでも、数多くの候補物件が見つけられます。数千万円の豪華な新築マンションがある一方で、価格の安いものだと数百万円や数十万円で購入できる中古物件も販売されています。憧れのリゾート暮らしが意外と手軽に手に入ることに気づくでしょう。

ただし、注意点もあります。リゾートマンションは、温泉やプール、ジムなど豪華な共有施設にも魅力がありますが、その分、維持管理コストがかかります。管理費や修繕積立金、水道代、駐車場代などをあわせて月額10万円以上かかる場合もあります。また、中古物件の場合には、大規模修繕のタイミングで百万円を超える金額が追加徴収されることもあります。維持コストが高い物件は、子どもに遺しても負の遺産となりかねません。

また、物件を所有すると税金もかかります。固定資産税や都市計画税のほか、例えば熱海市の場合には、別荘等所有税という名称の税金が別途必要になります。物件選びの段階では、購入価格以外の維持管理コスト、税金等についても確認しておく必要があります。

戸建て物件は交通アクセスが重要に

では、戸建て物件を選んだ場合にはどうでしょうか。税金はやむをえませんが、個人所有であれば、修繕や管理も自分のペースで行えますし、駐車場も敷地に含まれていれば駐車代もかからない安心感があります。

ただし、通うたびに掃除や庭のメンテナンスが必要となりますからそのあたりを負担と感じずに楽しめるかが重要になるでしょう。また、常時住まない家は、傷みやすくなります。それなりのメンテナンス費用は見積もっておいた方がいいでしょう。

また、永住や長期滞在を前提に考えるなら、買い物の利便性や最寄り駅への交通アクセス、病院へのアクセスが重要なポイントになります。自分では車の運転をできない年齢になっても日常生活に困らないかを確認しておきたいところです。

メンテナンスの手間を避けたい、時々利用できればいい、というのであれば、自己所有をしないでリゾート施設の会員になるという選択肢もあります。購入価格、維持管理費、利用頻度などを総合的に考えて、ご夫婦にあった方法を選択していきましょう。

相談者はいくらの物件なら手が届くのか?

ご相談者さんの場合、すでに3人のお子さんの私立大学卒業までの教育費は確保済み、持ち家の住宅ローンは完済済みということでした。

頂いた情報によると、1年間の貯蓄可能額は、15万円×12ヵ月+53万円=233万円です。今後11年間今のペースで貯蓄を続けると、60歳時点の貯蓄残高は、233×11年+4000万円=6563万円となります。60歳以降も働くのであれば、さらに貯蓄が増えますし、退職一時金があればその分も資産が増えていきます。

また、現在の生活費が27万円ですが、3人のお子さんが独立すると食費や携帯電話代、塾代、水道光熱費等も減ると思われるので、今の家に住み続けた場合の生活費は3割減の19万円ほどには減らせると思われます。お二人の年金収入が月額19万円以上あるならば、基本的な生活費は年金から賄えると考えられます。金融資産残高の中からリゾート物件の購入費や物件の維持管理コストを出していくと考えるといいでしょう。

リゾート地に足を運んで具体的な情報収集を

ただし、長い人生では何が起こるかわかりません。親が高齢となって世話が必要となった時にどうするのか、自分たちに健康上の不安が生じたときにどうするのか、その時になってみないとわからないこともあるでしょう。リゾート物件を購入する場合にも、手元資金を多めに確保しておくことをお勧めします。

リゾート暮らしと言っても、どのタイプを選ぶのかによってかかるコストは異なってきます。当面は今の貯蓄のペースを維持しながら、将来住みたい場所を求めて、実際にリゾート地に足を運んでみてください。物件情報なども現地で具体的に調べていくと、より具体的な将来イメージが描けるはずです。

© 株式会社マネーフォワード