"燃え尽き症候群"が懸念される業界「卸売業・小売」「宿泊業・飲食サービス」 気配りが疲労に

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燃え尽き症候群に?

東大発ベンチャーの情報基盤開発は7月8日、業種別のストレスチェックレポートを発表した。

同社サービス「AltPaperストレスチェックキット」を利用した企業(962事業所)から、高ストレス者の割合、総合健康リスク、各種ストレス尺度について業種別に平均値を算出。

今回は第二弾として、製造業に次ぐ高ストレス環境にあたる「卸売業・小売業」(全59社、男性9159人、女性7427人)、「宿泊業・飲食サービス業」(全28社、男性4479人、女性4179人)について、背景と要因を分析した。

高ストレスだけど高やりがい、というある意味で危険な環境

この二業種では「心理的な仕事負担(量)」と「自覚的な身体的負担」の男女差が特徴的だった。両業種とも心理的な仕事量は女性のほうが負担に感じており、肉体的な仕事負担感は男性の方が高かった。

「心理的な仕事負担」で、女性が男性を上回っていたのは医療福祉業界以外ではこの2業種のみだ。「肉体的な仕事負担感」と合わせて鑑みると、肉体的な負担ではない業務が女性に割り当てられている、または業務の中心となっている可能性が挙げられる。

同社は「事務作業や商品の取り扱いといった軽作業の他、『接客』といった感情労働のスキルが求められる業務を中心としている業界ではこのようなデータ形が予想されます」と分析する。

両業界は「自覚的な身体的負担」以外の項目は平均値に近く、数値も男女で傾向が似ている。同社は男女共通の不満点が重なっている項目への対策から取り組みを始めることが高ストレスに即効性のある改善策となるとしている。

また、他業種で見られた「働きがい」の低下との連動は見られず、従業員のモチベーションは高い。実際、「働きがい」が平均を超え、サービス提供に高いモチベーションを持っている。

一方で、高ストレス・高やりがいの環境では「燃え尽き症候群(バーンアウト)」が懸念される。適切な報酬やケア、ハラスメントから従業員を守る取組みも重要となる。

宿泊業・飲食サービス業は運輸業・製造業に匹敵する身体的な負荷

卸売業界・小売業界では、「同僚の支援」の項目が低い。「上司からの支援」は平均のため、同じ業務を行うスタッフ間でのやり取りが少ない環境だと同社は推測する。

契約背景の違いやシフト制・ワンオペ制といった働き方の違いもコミュニケーション上のハードルとして作用するため、風通りの良い職場となるよう積極的な交流を促す対策が企業側でも必要だとしている。

宿泊業・飲食サービス業は、運輸業・製造業に匹敵する身体的な負荷だった。男女ともに身体的なストレス反応もデータに現れており、これが「高ストレス者割合」の増加に影響していると見られる。

運輸業・製造業に比べて女性も男性同様の負荷がかかっているため、総合健康リスクの高さと合わせて、「医療へつなげるケア」に重点を置く対策が必要となる。なおこれらのデータは2019年時点のため、コロナウイルス感染症による影響は現れていないが、今後は経済的な不安や感染症による強いストレスに配慮が必要だ。

また日本では接客業務従事者に丁寧さ・サービス精神を求める人が多い。調査元は、接客業務などに携わる人は、「気配り」にエネルギーを費やしているといい、

「心のエネルギーを回復するためには、まずは『一人の時間を設ける』事が大事です。コミュニケーションに気を使わなくていい、安心できる時間は心身の回復力を高めます」

とコメントしている。