知っておきたい日本の健康保険~種類、加入方法、保険料などまとめ~

日本の健康保険制度について知ろう!

海外でケガをしたり、病気になったらどうしよう?

そんな不安を解消してくれるのが、医療保険。渡航前に加入できるものもありますが、日本には在日外国人も加入できる保険があることを知っていますか?

日本で生活するなら知っておきたい、医療保険制度を詳しく解説します!

目次

日本の健康保険の種類

日本には、「国民皆保険制度」があります。誰もが安心して医療を受けられるように、すべての国民が公的な医療保険に加入することが義務付けられています。昔は、国民の1/3が保険に加入しておらず、社会問題となっていました。

しかし、1958年に国民健康保険法が制定。今では保険証1枚あれば、いつでも、誰でも、日本全国どこでも、同じ治療を同じ医療費で受けることができます。

日本の保険制度は、2000年には世界保健機関(WHO)から世界一の医療保険制度と評価されました。トップクラスの長寿国を支えている、世界に誇れる制度なのです。

さて、その日本の健康保険は、「国民健康保険(国保/ National Health Insurance)」と「社会保険(社保/ Social Insuracne)」の2つに分けられます。簡単に言うと、社保は会社勤めの人、国保はそれ以外の人が加入する保険です。日本人だけのための保険ではありません。観光を目的としない在日外国人も、加入対象です。

そこで、どの保険に、誰が、いつ、加入できるのか? 加入の条件やメリット、手続き方法まで、詳しく見ていきましょう。

国民健康保険(国保)とは

国保は、地方自治体(都道府県と市区町村)により運営されています。加入者全員が毎月支払う保険料から、治療費などを出し合い、金銭的な負担を軽くする仕組みです。

加入すると、保険証の提示で医療費の3割負担で病院にかかることができるほか、入院中の食事代も一部負担されます。

ほかにも、

といったメリットも。自己負担額は年齢や所得により異なります。

保険に加入していないと、医療費は全額自己負担となってしまいます。すべての診療が保険適用(3割負担)ではなく、上の表にあるような対象外もあります。診療を受ける前に、医療機関に保険適用な診療かどうか、確認しておくと安心です。

国民保険の加入対象者

国保の加入対象者は、会社の健康保険に加入している人、生活保護を受けている人などを除くほとんどの人です。

外国人でも観光目的以外の滞在者で、住民基本台帳に記載があり、会社の健康保険に加入していない人は、国保に入らなければいけません。

75歳以上の人は、後期高齢者医療制度に加入するため国保の加入対象外です。

日本に入国した当初の在留期間が3ヶ月以下であっても、その後3ヶ月以上滞在すると認められれば、国保に加入できます。

また、在留資格が、

などで、在留期間が3ヶ月以下の人でも、3ヶ月を超えての日本滞在が認められていれば、国保に加入できるケースもあります。

加入対象外の方は、ご自身の国において「海外滞在向け保険」などに加入することをオススメします。

加入手続き

加入手続きは、入国日から14日以内に行いましょう。国保への加入は、来日した時点からとなります。

手続きが遅れてしまうと、国保の資格ができた月(来日した月)までさかのぼって保険料を納めなければいけません。手続きは、住民登録した市区町村の役所で行います。国民健康保険の窓口に、以下の必要書類を持っていきましょう。

手続き完了後、保険証(国民健康保険被保険者証:NHI Card)が交付されます。受取は役所の窓口か、郵送です。引っ越しなどで住所が変更となった場合、変更日から14日以内に新しい住所の役所で手続きを行う必要があります。

脱退手続き(withdrawal)

本国に帰国するとき、ほかの市区町村へ引っ越すとき、就職した会社の保険に入るときには、国保の脱退手続きが必要です。加入手続きをした役所へ行くか、郵送して、保険証を返しましょう。

会社の健康保険に入るときは、役所に職場の健康保険証も持っていきましょう。手続きの期限は、出国、転出(引っ越した日)、新しく加入した会社の健康保険取得日から14日以内です。

日本に1年以上滞在した後、本国に帰国するときは、役所で海外転出の手続きをする必要があります。出国中でも、住民登録がある間は、国民健康保険税がかかります。ご注意ください。

保険料

保険料は入国した月の分から発生します。金額は、加入手続きをした月の翌月に決定されます。

保険料と納付時期は、郵送される通知書に書いてあります。保険料を滞納期限までに支払わないすると、延滞金がかかってしまいます。かならず期限までに支払いましょう。

金額は住んでいる市区町村によって違います。また、前年度の所得や世帯人数(家族の人数)によっても、毎年変わります。

入国1年目は、前年の日本での所得がないため、基本料金を支払います。2年目からは、所得などに応じて金額が決まります。ちなみに、出産や結婚で扶養する人(国保に入る人)が増えれば、人数に応じて保険料が高くなります。

留学生には減額も

留学生など、前年度の日本での収入がない外国人へ国保の保険料を減額している市町村もあります。減額料は市区町村により違います。

減額の申請方法や必要書類などは市区町村により違います。まずは、役所で保険料の減額・免除などの制度があるか、問い合わせてみましょう。

保険料の支払いは、自分で行います。役所から郵送される「納付書」を銀行や役所に持っていき、支払います。また、便利な銀行の「口座振替」も利用できます。

介護保険制度(40~64歳までの人が対象)

また、日本には介護保険制度(Long-term care insurance system)があります。介護が必要な人に、費用を給付する保険です。

そのため、40~64歳までの人は、国保の料金にプラスして介護保険料も支払います。65歳以上の人は、年金から天引き(自動的に差し引き支払われる)され、介護保険料も市区町村と所得により異なります。

社会保険(社保 / 被用者保険)とは(Social Insuarance)

社会保険は、全国健康保険協会「協会けんぽ」などにより運営されています。会社は協会に所属します。そして労働者は、会社を通じて協会に保険料を支払う仕組みです。

加入者は、公務員、会社員、その扶養家族、パートやアルバイトで一定条件を満たしている人です。

加入の主なメリットは、国保と同じです。病院にかかったときに保険証を提示すれば、医療費の負担額は一般的に3割です。出産育児一時金(lump-sum allowance for childbirth)も国保と同じ42万円が支給されます。

加入や脱退手続き、保険料が国保と異なります。

加入・脱退手続き

加入手続きは、会社が行います。国保のように、自分で役所に行って手続きをする必要はありません。保険証は会社から受け取ります。会社を辞めて社保を脱退するときは、会社に保険証を返します。

保険料

保険料は、雇用者(会社)と労働者が50%ずつ負担します。金額は4,5,6月の収入を基準に決まります。支払方法は、給料から天引きされる(自動的に差し引いて支払われる)ため、自分で振り込む必要はありません。

国保と同じく、40~64歳までの人は、介護保険料も合わせて給料から支払われます。介護保険料も会社が50%負担してくれます。

また、国保では出産や結婚で加入者が増えれば、保険料も増えましたが、社保は加入者の扶養(dependent)が増えても、保険料は変わりません。そのため、毎月の保険料は、国保よりも社保の方がお得です。

厚生年金保険

社保は、健康保険のほかに、厚生年金保険を含みます。まず年金とは、老後の生活や障害・死亡への保障制度です。20歳~59歳の全ての日本国民は、国民年金という年金に加入しなければなりません。

厚生年金は、この国民年金に上乗せされて給付されます。社保に入ると、老後により手厚い保障を受けられる仕組みです。

安心な暮らしのために、保険を活用しよう!

ケガや病気になったらどうしよう? 病院代が予想以上にかかってしまったらどうしよう?

そんな不安を和らげてくれる、日本の医療保険制度。日本には、「備えあれば憂いなし(”You can never be too prepared”)」ということわざがあります。万が一のときに備えて、保険を活用して日本での滞在を安心して過ごしてください!

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