『タモリ倶楽部』発、グー鉄本線快調 やってみたら「時刻の謎」発生

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筆者が「グー鉄」して、時刻の謎が生まれたショット

▼乗り鉄、撮り鉄、スジ鉄、模型鉄・・・。鉄道ファンとは、『津軽恋女』(新沼謙治)の七つの雪のごとく多彩なりか。『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)のリモート企画「グー鉄」が2週にわたり放送された。「鉄か、鉄以外か」を問わず引き込まれた。敬愛を込めて「タモさん」と呼ばせていただくが、あのタモさんが誰より興奮を隠さず、前のめりで、見ていて嬉しい。グー鉄とは「Googleストリートビューに偶然写った鉄道を探す趣味」だそうで、それを聞いた当初のタモさんは低体温。だが、最初に例示されたショットが凄かった。東京スカイツリー近くの踏切地点(東京都墨田区押上3丁目)。画面手前の踏切内を京成押上線の列車が横切り、上方奥の高架には東武伊勢崎線の特急スペーシア、左奥にはスカイツリーがそそり立つという絵葉書級ナイスショット。番組スタッフが5時間かけて探し当てたという。

▼俄然テンション上昇な御一同。タモさんの他は、「タモリ電車クラブ」の吉川正洋(『ダーリンハニー』、会員No.009)、土屋礼央(『RAG FAIR』、No.015)、市川沙耶(No.022)というおなじみの面々。さてさてどこの路線沿いで探そうかと希望を言い合い、代表して吉川がパソコンで検索する。30分があっという間に過ぎ、吉川が駅員アナウンス口調で「申し訳ございません、臨時列車の運行を来週お願いできませんでしょうか」と懇願すると、「もちろん、もちろんいいよ」とタモさん。

▼2週目は進化あり。南田裕介(ホリプロマネージャー、No.004)が途中で自宅から加わり、「海と電車」ビューを求めて御一同、JR五能線(秋田・青森にまたがる路線)へ。運行本数が少なく、なかなか電車は現れない。そこで、建物などの陰の短さから撮影時刻は真っ昼間だと推測。十二湖駅(青森県深浦町)に入っていく人が複数写っていることから、「電車が来るぞ来るぞ!」と予測。南田が背後の書棚から時刻表を取り出し「12時9分着の普通列車がありますよ!」と連絡。だが、撮影時刻が12時頃という保証はない(笑)。しかもストリートビューは、異なる日に撮影されたコマがつなぎ合わさっていて、来るぞ来るぞと画面を移動していっても、急に撮影日時が変わってしまうことも珍しくない。

▼御一同、五能線を北上し、でっかい遮光器土偶(ゴーグルのやつ)が駅舎のファサードに張り付いている木造駅(青森県つがる市)へ。土偶の右腕横に時計が見つかり、針が示すは「13:39」。再び南田が時刻表をめくってダイヤを連絡・・・。もはや推理小説の謎解き部分を読む時のワクワクだ。最後にタモさん、「収録時間に限りがあるからこれで諦めるんだけど、家でやるんだったらずっとやってるよね」。

▼筆者の私は非鉄だが、グー鉄にすっかりやられて出発進行。パソコンを起動すると、地下鉄や高架の多い都会を避けて、まずは、かつて暮らしたことのある地域、JR藤枝駅(静岡県)近くの路上へと、黄色い人型アイコン「ペグマン」を降ろしてみた。

▼すると、着地後一歩も動くことなく、電車を見つけてしまった! しかも東海道本線の普通列車ではない。特急っぽいやつ。非鉄な私には判別不能だ。どんな特急がこの辺を走っているのか検索。あった。夜行列車「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」(東京~高松・出雲)。特急用寝台電車「285系」。これってレアショットではあるまいか。違う? 「え只今ココロが乱れております。お急ぎの読者様にはご迷惑をお掛けいたします」

▼サンライズの時刻表を検索すると、この特急が藤枝駅あたりを通るのは、下りはド深夜。上りは午前4時台。ビューに写った電車は上り線を走っている。撮影日は「7月2019」。太陽は空高く、手前のフェンスの陰は短い。推定撮影時刻は午前11時ごろか。これは一体どういうことか・・・。こんなことでJRに問い合わせて業務の邪魔をするわけにはいかない。どなたか鉄人、教えてください。

▼グー鉄は、コロナイズされがちな気分を吹き飛ばしてくれるが、たった一発で1日1往復しかしない特急を見つけてしまって良かったのか。複雑な気持ちだ。こんな時はYouTubeで『中川家ブルース 大阪地下鉄堺筋線』を見て、礼二のボヤキを聴くに限る。同僚に教えてもらってから何度見たことか。これについても紹介したかったけど、長くなるから、今日はやめときます。とにかくお薦めですわ。(敬称略)

(宮崎晃の『瀕死に効くエンタメ』第138回=共同通信記者)